千葉県白井市橋本梨園
橋本 哲弥さんにお話しを伺いました。
インタビューしたのは2019/11/18
梨の収穫もほぼひと段落ついた時期です。
Contents
橋本 哲弥さん プロフィール
茨城大学農学部卒
企業の園芸事業部に勤務後に退職後、フリーのライターに転身
同時に就農し農業を始める。
現在は農家をしながら、農業・園芸関連の実用書、雑誌などで執筆
食べ物関連のフリーペーパー、メルマガ、webライターとしても活動中
講師やパネリストとして農業のリアルを伝える活動も精力的におこなっている。
執筆・メディア掲載・出版多数
詳細はこちらから
話を聞きつつ梨園を案内していただきました。
ますは収穫後の梨の木のお話し
梨の枝の剪定 太いのを剪定する

この枝はもう切らなきゃなぁ
ぱっと見、太くて丈夫そうな枝に鋸をあてながら
そう呟く橋本さん。
素人目には美味しい梨を実らせてくれそうに見えますが。

ここまで太いと枝に栄養がいきすぎちゃうんですよ
なので切断します、準備はできていいますし
なるほど。
枝が太いと果実に行くはずの栄養が
枝に流れてしまう、
そういうものなんですね。
って、準備ってなんですか?
そう聞くとその隣の枝を指さします。
今鋸をあてていた枝の左側に
剪定される枝より明らかに
緑がかっていている枝がありました。

この通りもう誘引済みなので
剪定した枝の代わり、ですね
さらっと『誘引済み』って単語が出ました。
私はその場にいたので流れでわかりましたが
簡単に説明しておきます。
誘引とは、剪定した梨の木の枝を
針金や支柱に結びつけて
枝を伸ばしながら固定していく工程です。
下の写真のように誘引します。
余談ですが
今年実がなる枝を結果枝(けっかし)と言います。
例えば先ほどもう剪定される太い枝は
今年まで結果枝となります。
また来年、再来年に実がなる予定
将来結果枝になる枝を予備枝(よびし)と言います。
この写真の枝がまさに予備枝ですね。
採る高さに合わせて梨の枝を誘引する
さきほど『誘引』の解説をしたところで
その誘引する為に梨園上方部に
線状のものが引いてあります。
各種作業や収穫する時の動きやすさを考えて
高さを設定するそうです。

うちの場合自分やパートさんのことを考えて
この高さにしています。
これが観光用の梨園や果樹園だと
子供が採ることも考えて
もっと低めに設定したりしてますね。
葉はギリギリまで光合成させるので間引きをしない
さっき太い枝を剪定する話が出てたので
梨の木の葉も早めに間引くのかな、
と思ったらそうではないそうです。

葉はギリギリまで日の光を浴びさせて
光合成することで樹木に栄養を蓄える役割があるのですよ
なので元気なうちは剪定はしません
光合成!
久しぶりに聞きました(笑)

光合成は葉が無いとできないので
落葉したら次に葉が芽吹くまでこの時期までの光合成の貯金で過ごすんですよ
そしてこの時期に貯めた光合成の栄養が
来年の梨の果実の質や大きさに直結します。
ただ枯れてしまったものや
弱って光合成が難しそうな葉は
剪定してしまいますね。
土を考えて雑草を梨畑に生やしておく
落ちた葉っぱを探そうと梨畑の土を見ると
もぐらが盛り上げた土があるのですが
それはまぁ見事なほどの黒茶色で
栄養がたっぷりありそうな土でした。
本当にいい色してますけど
もぐらが土の下を通ることで
耕しの効果があったりするんですか?

もぐらはさほど・・・・(笑)
もちろん効果がないわけないじゃないですが
耕すの視点だと雑草の方が役にたってます
雑草?
言われてみると確かに梨畑の下に
雑草がびっしりと生えています
素人考えだと雑草が土の栄養を
吸い取ってしまうイメージがありました。
畑にしゃがんで鎌もって
雑草を引っこ抜いている農家さんの絵が浮かびますが。

確かに雑草は土から栄養を取りますが
それ以外にもさっき言ってた
土を耕す、つまり土地を柔らかくしたり
微生物を根に集めて土の栄養を増やしたりするんです
え?そうなんですか?

自然に耕していることになりますし
その根が枯れ朽ちると根があった部分にぽっかり空間ができます。
この空間があることで土が柔らかくなるんですよ
知らなかった・・・・

だんだん土が固くなってしまうので
うちでは雑草は基本とりません。
もちろんどの雑草でも良いというわけはないですけど
こういう雑草は残しておきますね。
そういって教えてくれた雑草がこちら
根がそこまで奥深くまで伸びず
土の上のでてている部分は低くめで
柔らかいのが良いそうです。

また当然雑草も植物なので光合成するんですよ
光合成でできた栄養の一部は
根から土の中に移るのですが
その栄養が微生物を集めてくれて
結果また土の栄養が増えることになります。
なるほどー

その際に分解するのは栄養に惹かれて集まってきた微生物ですからね
微生物が集まれば集まるほど畑が肥えてくんです
そう言って畑の土を
手に持ちながら解説してくれる橋本さん
さすがはご自身もライターさんなだけあって
説明がとってもわかりやすい
なんか私も農家さんを始めることができそうな
錯覚をしてしまいそうです(笑)
『今梨農家で流行りのジョイント仕立てなんです』
梨畑を案内していただいている途中に
こう楽しそうに言われまして
えーっと、ジョイント仕立てとは(笑)
言われるまま橋本さんが指さす方を見てみた絵がこちら
もう少し引きの絵がこちら
この方がジョイント仕立てわかりやすいですね
ジョイント仕立てとは
この写真のように『樹と樹をつなげる』ことだそうだ。

いろいろメリットはあるのですが
一番わかりやすいのは収穫時間の短縮ですね
私やパートさん達の梨の収穫にかかる時間が
40%ほど削減できました。
40%!
ほとんど半分じゃないですか!それは凄いな・・・

梨園として稼働できるまでの時間が早くなったり
(早期成園化、というらしいです)
樹と樹を繋げることで枝や果実の大きさが揃えやすい
などあるんですけどね。
まぁ、そこを話すと長くなるので(笑)
橋本さんの梨農園ノウハウツイートまとめ
ここに書いた事以外にも
橋本さんはTwitterで梨農園の方にとっては
使えるネタをツイートしてます。
月ごとにここに不定期にまとめていきます。
月以外は特に法則なくまとめてます。
(そもそも梨農園の法則がよくわからない(笑))
梨園のこと詳しくないですが、
梨農家さんのリアルが感じられて楽しい。
1月
基部に返し枝置いてます。
に使っていいよ。 pic.twitter.com/owR3zrh2LM
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) January 10, 2020
萎縮入った太い主枝からかってるなら、新しい主枝出し直ししたほうがいいなう。
に使っていいよ。 pic.twitter.com/99IgMHZe64
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) January 12, 2020
さっさと引退させたいけど老木を使わなきゃいけないシーンは現場ではたくさんあるのでね。
太過ぎる古い主枝亜主枝というのは、その維持にエネルギーを多く使ってしまうので(固定費がでかい)、肝心の結果枝が充実しないという一面があるんだよね。— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) January 12, 2020
二年育成の予備枝っぽいけど、これは一年生の予備枝。去年6月に強めの新梢に長めの摘心をしたもの。一旦ブレーキを掛けれらたため落ち着いてるし、二次伸長した部分は葉芽になるので予備枝として大変扱いやすいよ。 pic.twitter.com/eUeKyBO7h0
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) January 13, 2020
梨の作り手は、
・電動はさみ
・バッテリーソー
・切れ味の良い剪定はさみ
は多少高くても絶対買った方がいい。
仕事早くなるし、手に負荷かからなくなる。ソッコー投資した金額分全然ペイできる大満足感味わえるから。マジで。— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) January 12, 2020
2月
さっぱり pic.twitter.com/acNdpp91MJ
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) February 24, 2020
しっかり伸びた長果枝は柔軟性があり取り回しが効くから誘引が楽。側枝間隔も適切に確保できますね。骨格枝先端もしかり。ながーく伸びた枝は一年生の枝は扱いやすいのだ。 pic.twitter.com/YN75Rx7M0R
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) February 24, 2020
古い技術が使われてる園の人が先ず目指すのは、棚面における主枝亜主枝=骨格枝の占有面積を減らし、結果枝の割合を増やすこと。
骨格枝は結果枝を取るための土台ではあるが、骨格枝自体から果実は取れないということを忘れてはいけない。
また太い骨格枝の維持自体に多くの養分が使われることも。— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) February 24, 2020
しっかり伸びた長果枝は柔軟性があり取り回しが効くから誘引が楽。 側枝間隔も適切に確保できますね。骨格枝先端もしかり。ながーく伸びた枝は一年生の枝は扱いやすいのだ❗️ #しろいの梨 #梨 #白井市 #橋本梨園 #japanesepear #fruit #長果枝 #予備枝誘引 #予備枝先端一本化 https://t.co/SxLPi3TCZY pic.twitter.com/vYtkxpqS0U
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) February 24, 2020
梨の木とは毎日濃厚接触してるけど人とは基本会いません pic.twitter.com/DADz5I0O9M
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) February 25, 2020
3月
梨の花芽が膨らんできています❗️ 上は新高、下は幸水です。 これからの天候次第ですが、今年はかなり開花が早そうです。 寒の戻りで霜害など受けないか心配です😥 #しろいの梨 #梨 #白井市 #橋本梨園 #japanesepear #fruit #花芽 #幸水 #新高 https://t.co/LITJwGP6wo pic.twitter.com/lmonGNreDC
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 7, 2020
久々に父の管理する畑へ。側枝の取り方は相変わらずだけど、間隔が広くなってて、驚いたのは無駄な骨格枝が減って明るくなってる。あれっ、おれの連載読んだ?(笑 pic.twitter.com/QYIFQPeMGV
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 11, 2020
寒の戻りがあるのに頭出ちゃってる子たちいるよー。花蕾露出期の安全温度は約−3℃。
さすがに最低気温が氷点下にはならないと思うけど、盆地の様な冷気たまる場所にある畑持ってる人はやっぱり怖いよね。 pic.twitter.com/5eIkUdqo1z— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 12, 2020
新芽出とるやないかーい pic.twitter.com/m50kNAflHR
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 13, 2020
当初定芽切りして年次差を出した側枝。中庸な二年生枝なので出来たらまた来年も使いたい。でも一応基部には芽傷入れてあります。予備枝出ればラッキー。 pic.twitter.com/UkogZuHWIx
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 17, 2020
四年目のジョイント幸水。パッと見ではびっちり結果枝入ってるけど、問題はここから。噂に違わず潜芽発生がやっぱりしづらい。
先人たちから噂は聞いていたので、同級生の枝たちに様々な工夫をして無理矢理年次差をつけて今のコレ。
今期も着果数には気をつけて樹体を育てることに注力しよう。 pic.twitter.com/B6t8ad4FwL— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 17, 2020
花芽の生育ステージ一覧。
春になる薬剤散布やミツバチの入地のタイミングをどうすると農家同士で話す機会が多いのですが、自園の状況をわりとフワッとした雰囲気で伝えがち。各ステージ毎度の呼称がそれぞれあるので、皆これをもとに話してほしい。一つの見える化。
ちなみに今うちの幸水は出蕾初期。 pic.twitter.com/bIiMeVt9AW— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 19, 2020
新高が白いものをチラ見せしてきました。平均的には2枚目の写真のような感じですが。剥き出しになると病害虫にも悪天にも一気に弱くなります。だからアラレとかマジ勘弁なわけです、はい。 pic.twitter.com/DVoatQfVqG
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 20, 2020
3日後にりん片脱落する幸水 pic.twitter.com/7mwICY5nq6
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 21, 2020
誘引、あと三〜四日ってとこかなー。 pic.twitter.com/bEpgIHhhBV
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 24, 2020
摘蕾だー❗️🔥 pic.twitter.com/NwVmFHsEZu
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 25, 2020
芽かきだー❗️🌱 pic.twitter.com/rFj0n3Nfak
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 25, 2020
黒ずんでる花蕾が点在してました… pic.twitter.com/RKwVw5e8da
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 25, 2020
新高開花しましたー。過去最速。 pic.twitter.com/xzFSUd4S4F
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 28, 2020
梨の花と雪のコラボ。全然嬉しくないです。 pic.twitter.com/TFERqhVWvk
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 29, 2020
記録取りに自宅付近の圃場へ。
新高、豊水、幸水、ジョイントの画。
花弁に積もった雪の重さで花が下を向いています。
#雪 pic.twitter.com/T0qjROz3PN— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 29, 2020
今日はジョイントの接木するよ。今年は20箇所も無いので今日で終わらすぞ。 pic.twitter.com/BuxwI6v3aR
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 31, 2020
ミツバチ入地しました pic.twitter.com/imyFAdzGU1
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 31, 2020
4月
んー、かなり死んどるぞ pic.twitter.com/PmVzZzGT75
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) March 31, 2020
お願いしたこと指示通りやってくれる人最高かよ。仕事めちゃくちゃ捗った。
そりゃコストはかかるけど、母や祖母にお願いして、なかなか作業に取り掛からなかったりミス多かったりで我慢しながらより精神的にもかなり健全。
久々に仕事楽しい! pic.twitter.com/7DksEAT53J— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 3, 2020
JVトレリスジョイント栽培をしている後輩のところで、あきづき側枝の環状剥皮をしました。定植三年で強健な枝が出揃っています。木々が活着するまでどう枝に序列をつけるか、ということでの試験。他にも捻枝や楔など色々基部発生の側枝を弱める仕方を試してみました。 pic.twitter.com/duK1aal6XG
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 4, 2020
緊急事態宣言から一夜明けたわけだけど、私は本当にいつもと変わらず畑です。 pic.twitter.com/scSfxFlBtw
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 7, 2020
7反の先端取り1日で終わった。マンパワー最高! pic.twitter.com/fEJX0JxnJ1
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 8, 2020
ジョイント幸水は潜芽発生めちゃしにくいので、剪定時に側枝切るときは定芽切りやシワ多め残し切りするんやで。暫定先端切る時も先ずはきれいに切らず、切り口多めに残して芽吹かせるんやで。 pic.twitter.com/G1lM3u7Bo5
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 8, 2020
橋本梨園でも適切な距離を開けて休憩しています。
テレビ番組もそうだけど、見慣れてないせいか、なんか間抜けな光景に見えちゃう。 pic.twitter.com/4DOkPJVFuh— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 9, 2020
早い長果枝と遅い長果枝。遅い方はあとは自然任せ…ろくな果実がならないだろうなあ。 pic.twitter.com/TG0yxPqaVL
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 15, 2020
不毛地帯にも芽は出ます pic.twitter.com/IEl21nRRsZ
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 15, 2020
ノー交配でなーんにも構ってない「にっこり」と「二宮白梨」。にも関わらずモリモリ成ってるにっこり。スカスカの白梨。 pic.twitter.com/HCcppS0xw0
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 15, 2020
うちのお父さんは一箇所にお花がたくさん咲いたほうが、あとで実が選べて嬉しいそうです(左)。
でもぼくはお花は一つでいいと思っています(右)。
最終的に残すのは一果だから、余分な花に使われてしまう貯蔵養分が勿体ないし、あとで選択肢が少なくて摘果が楽になるほうがいいと思います。 pic.twitter.com/rLIODm6gpO— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 15, 2020
ニセ切り口(楔)から新梢吹いてるのもニヤける pic.twitter.com/xK0YKTu4OV
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 16, 2020
コロナで休業中の皆さんが手伝いに来てくれるおかげで、幸水の子花取り1haは今日午前で完了。全品種で既に先端や下花も外してあります。
引き続きその他品種の子花取りに。父が腰を痛め仕事が遅れ、剪定は4月2週目までやってたのに、凄まじい追い込みです。結果橋本梨園史上、一番仕事が進んでいます。 pic.twitter.com/0ZrgoghWYl— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 17, 2020
こんなズングリムックリーな果実が多いです #豊水 pic.twitter.com/hsrba15XvY
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 23, 2020
梨畑は子供遊ばせるのに最適です #新型コロナ pic.twitter.com/956nTrUsHF
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 28, 2020
こっちの予備枝は翌年の長果枝狙いつつ、短果枝での収穫も狙いますからね。なので基部から20cmくらいは芽を欠き取りますが、他は先端以外も残し、5月下旬くらいに摘心します。これを「予備枝の一本化」といい、普及の教科書にも載ってるスタンダードな技術です。 pic.twitter.com/0cnvmYZTMg
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 30, 2020
幸水の摘果に本格的に入ったので、パートさんたちの部隊と並行して豊水の芽かきと摘心をサッとやっておきました。
とりあえずしばらくはヤバい枝吹かないだろう。幸水の摘果終わって初めて手をつけると目も当てられない太い新梢が基部から立ってるので… pic.twitter.com/4iYbcXptIz— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) April 30, 2020
5月
5/2の幸水長果枝の感じ。 pic.twitter.com/q9cb3SVQLX
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 2, 2020
摘果と並行して、不要な新梢の切除はやっておこう。背中からの徒長枝候補、切り口からの潜芽発生、側枝の基部など。あと予備枝の先端一本化と豊水の摘心も。もう広義では剪定は始まっているのだ。 pic.twitter.com/AjL3688fYX
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 3, 2020
梨の木の下のソーシャルディスタンス 距離を取れコロナへのレジスタンス #新型コロナ #ソーシャルディスタンス #THEALFEE pic.twitter.com/GvOcS9Qjh6
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 4, 2020
正確にいうと充実した短果枝にするために、間を空けて二芽残しておけよ、という話でした。 pic.twitter.com/YGEPQ8A6uc
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 14, 2020
今日から毎日ピンチです pic.twitter.com/AbBW9RDtUR
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 15, 2020
雨続きの予報だったので、小雨だったけどピンチしてた。でも葉に滴る雨梅雨でびしょびしょになり撤収なう。 pic.twitter.com/T2MbLyeuxm
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 18, 2020
うなぎパイみたいな帯化新梢があった pic.twitter.com/NYwq6LPEqx
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 24, 2020
新梢と一緒に指まで摘芯してしまいました。
しかし親指だけ立ててるのと中指だけ立ててるのとでは、だいぶ受ける印象が変わってきますね。 pic.twitter.com/qFVptVxc59— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 25, 2020
摘芯ビフォーアフター pic.twitter.com/hydPik4AdF
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 26, 2020
ハクビシン。意外に初捕獲。 pic.twitter.com/nphxdvnDWi
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 27, 2020
誘導枝もしっかり仕事してる。「こんな細い枝残してどうすんだ」と言ったじいさんたちに画像送りつけてやりたいが、彼らには受信できる術がないというデジタルデバイト。 pic.twitter.com/TBqgliJQAI
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 27, 2020
豊水っちゅう品種は油断すると直ぐモジャモジャになってしまう。一度摘芯回ってるからまだこれで収まってるけどさ。とりあえずは幸水なので、既視スルーで。 pic.twitter.com/JB6vuomPTb
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 28, 2020
豊水は二次伸長になってから初めて裸芽が登場しがち pic.twitter.com/HatXuhMsUz
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 28, 2020
あきづきジョイントの芽の整理比較画像撮ったけど、よくわかんないね。 pic.twitter.com/Gx1hYFhB3s
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 28, 2020
幸水摘芯二周目。ビフォーアフター、客観で見るとそんなに違いがわからない? 間違い探しレベルです。
主観だとボサボサしてる印象だったし、結構新梢も落としたんだけどね。 pic.twitter.com/pjmlDxAZps— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 29, 2020
どちらが管理しやすいか。パートさんなど入ってもらったとき作業が分かりやすいか。典型的な例。 pic.twitter.com/51pd2xmBXg
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 30, 2020
あー、ありがとうございますー。いま、ジベレリンペーストのワニ口をいただきましたけども。
ありがとうございますー。こんなん、なんぼあっても困りませんからね。 pic.twitter.com/BPjgy6fhTU— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 30, 2020
弱い新梢早めに摘芯
二次伸長エーゾエーゾ pic.twitter.com/Xli2DNPw13— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 30, 2020
梨農家はなぁ…今の時期毎日がピンチなんだよ! pic.twitter.com/nGm7UKvglD
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 30, 2020
6月
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) May 31, 2020
豊水の強くなり過ぎそうな予備枝、今45°に誘引して摘芯しとけば、今冬に長果枝なのに立ち上がりの先端ある側枝みたいになるで。
豊水は頂芽優勢弱いから、ベタつけしても棚面から20cmの先端がある長果枝は便利やで。
てかめちゃマニアックやで。 pic.twitter.com/3Acyyzzma9— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 1, 2020
豊水摘芯二周目。これでも落ち着かないのがこの品種。もう1〜2モジャりあります。 pic.twitter.com/BcsFHuyrGs
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 5, 2020
超絶つまらない作業なので、酒の力を借りて、何とか20個/30分できました。今年は作業に手が回ってるので目標100個いきたくて、直ぐ出来るじゃんと思うかもしれないけど…これがまたつまんねーんだ! pic.twitter.com/pBDmvJwMB6
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 6, 2020
これで強風がきても新梢折れない、振れないのですくすく伸びる。安心・安全。 pic.twitter.com/xxYKLkF63B
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 6, 2020
かおりちゃん、久々に見に来たらミニのぎすでは測れないくらいになってた。 pic.twitter.com/oNSyepCGni
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 8, 2020
かおりちゃん包みました pic.twitter.com/7FC5MKo68j
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 8, 2020
強風からの大雨で二日ぶりに畑行ったら豊水の予備枝先端ボキボキ逝っちゃってた… pic.twitter.com/lRdLc5mtTK
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 15, 2020
先端振れ止めしながら、遅伸びした新梢のピンチしてます。二周回ったあとだと切ってもこれくらい。ちなみに幸水です。 pic.twitter.com/Vv9tmguVe4
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 16, 2020
根圏150×150×150cmを客土して臨んだ激烈紋羽地帯の幸水大苗、3年で御臨終。 pic.twitter.com/76gnZ7hNT1
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 17, 2020
養分転換期以降も止まっていた新梢、ジベで見事に覚醒してくれました。頼りない発育枝だけど、短果枝のままよりはマシかな。 pic.twitter.com/bgq3gsyDEV
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) June 24, 2020
7月
ここ数日の強風で、防災網の中とはいえ果実が点々と落下しています。それだけ果実が大きくなってきたということですかね。まあ想定の範囲内です。でかいのは勿体無いけどさ… pic.twitter.com/ElKI2dvypK
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 2, 2020
めちゃでかいけどめちゃ軸折れしてめちゃ落下するめちゃ幸水 pic.twitter.com/nnyRLUv4Ji
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 3, 2020
今日はナシ(7/4)の日ですが、畑の果実はまだ真っ青で、直径6〜6,5cmの小さな状態です。
少し小売店の売り場に並び始めていますが、暖地のハウスもの。千葉県の露地ものはもまだひと月くらい先になります。先にお知らせしたとおり注文受付ももう少し先になります。もう少々お待ちくださいませ🙇♂️ pic.twitter.com/N0VG4fFAVw
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 3, 2020
予備枝誘引は引けば引くほど花芽は入りやすくなるけど、そのぶん太りが来なくなるから目安は45°〜60°で。ただ意外に軽く引くだけで入る園もあるから土壌次第ということですね。あくまで地下水位低くて火山灰土のうちの圃場での目安ということで。 pic.twitter.com/h3zFZzAO3l
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 4, 2020
やっとこさ防災網の施工が終わりました。これで安心して梨の注文が取れます。鳥入る虫入る雹は降り注ぐ状態では安定量の確保なんてとてもできません。いつ何が起こるかわからない近年の天候。安い買い物ではないけど、防災網はもうマストです。 pic.twitter.com/4DaMHsIiaZ
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 13, 2020
秋麗より更に裂果する幸水は生産量でも栽培面積でもド・メジャーを何十年もキープしているので、やっぱり時流も大きいと思う。当時の赤梨は長十郎が主体で、幸水はトレードオフで裂果も止むなしと言える品質だった。長十郎のライバル・二十世紀は黒斑対策や袋掛けのコストがあったし。
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 14, 2020
フライングで色付いた果実を取ってきました。初収穫っといって良いのかどうか。大体他の果実と極端に先行して収穫できる果実には何かしら問題があります。案の定ですが2/6は芯が腐っていました(廃棄済み)。
とは言えこんな果実が取れる始めるのも収穫スタートの一つの目安です。 pic.twitter.com/Tkp6MKgoA3— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 22, 2020
コロナ対応2 pic.twitter.com/lkd6q54Uaz
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) July 29, 2020
8月
×4.5台でシベはいよいよ盛り感。てかあんな天候だったわりに始まると早い。 pic.twitter.com/PRABAWju7Y
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) August 3, 2020
豊水初収穫1/4蜜で廃棄。まあ過塾もあるからまだ継続する分からんないけど…うーーーん、どうする注文。ネットは申し訳ないけど幸水同様強めに絞ります。 pic.twitter.com/tMt8TygcRm
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) August 19, 2020
ごめんちゃい pic.twitter.com/i4raMPgw79
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) August 23, 2020
43コンテナ中6コンテナ廃棄です。まだ箱詰め中で弾かれるのもあるので、恐らく7コンテナ弱はロスになるでしょう。 pic.twitter.com/rGQZAl2HCz
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) August 26, 2020
同業から見たらキモい量のかおりが成ってる当園ですが、玉伸び着果数共に見た目はいい感じです。
が、それで蓋を開けたら豊水がこのザマなので、引き続き慎重に注文受付はしていきたいと思います。 pic.twitter.com/3LZX7UKJhH— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) August 29, 2020
かおりにも色回ってる果実には蜜的なものが入っています。こんなん初めて。
過熟によるものだとしたら、何回か収穫すれば収まるけど…
収穫初日に果実をあげたパートさんやご近所さんから立て続けに報告があり、割ってみたところ確かに熟れた果実には多い。
もう勘弁してほしいです… pic.twitter.com/DQmZ3FcFQK— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) August 30, 2020
9月
あきづきもかおりも「焼け」が多い。8月の猛烈な直射日光にやられ、日当たりの良い場所にある上向き果は軒並み果皮が焼け爛れています。 pic.twitter.com/Dk3VS7tYGg
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) September 1, 2020
かおりにもちょっと蜜症的なものが出てるんだけど、これも豊水のそれと機構的には一緒なのかな。 pic.twitter.com/jvggCc8n1U
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) September 6, 2020
あきづき豊作なのはいいがデカすぎ問題。 pic.twitter.com/KXDYQDYfFH
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) September 7, 2020
11月
梨の木の経済年齢は30〜40年(上手く管理すればもっと長く使える)。今作ってる若木の樹形の真価は私がジジイになったときにならないとわからないし、そのときには自分も自身のしてきたことを客観視できなくなってて、評価は後世がするんだろうなあ。果樹栽培とは本当に一生ものの気の長い仕事です。 pic.twitter.com/sTmjSsIFmC
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) November 10, 2019
農作物が倍速で育つ エコで全自動なモバイル農業が地球を救う:日経クロストレンド https://t.co/AnC7x1z8LY
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) November 22, 2019
ジョイント栽培と一口いっても色んな型があって、今も研究機関でも現場でも試行錯誤中。そして必ずしもジョイント栽培が今後のナシ栽培において正解とは限らない。省力化樹形は他にも沢山ある。が、国の方はナシだけでなく、果樹全般で低樹高Y字型を統一樹形にしたさそうな雰囲気は結構感じる。 pic.twitter.com/iupjF5Z88L
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) November 28, 2019
12月
昨日、新型の抜根機でうちの木8本抜いてもらったよ。下準備含めて5分/本、単純に根を抜くだけなら1分弱/本。ユンボオンリーだと30分/本はかかる。抜根革命じゃー。 pic.twitter.com/KyVOPqGUTh
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 6, 2019
苗木はとにかく栄養生長。沢山の果実を得るためには根・幹・骨格枝がしっかりしなくてはいけないのだ。あと身体が未熟なうちから果実を成らせてはいけない(生殖生長抑える)。幼若な木にとって実を成らせるということは大きな負担になる=樹勢落ちる=根・幹・骨格枝の生長(栄養生長)滞る
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 7, 2019
良い大苗だろ? 農家や業者か作ったんじゃないんだぜ。梨栽培未経験の定年退職した元市役所職員や元肉屋さんたちが作ったんだぜ。きちんとした仕組み作りとノウハウが継承されていれば、素人でも苗作りは出来ないわけじゃないんだぜ。 #しろいの梨育苗センター #しろいの梨 #白井市 pic.twitter.com/W8g6T8BKVZ
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 15, 2019
萎縮の入っていた木、抜根木で抜いたら真ん中でパッカーンと割れちゃった。こうなっちゃうとユンボでちまちま穴を掘って攻めていくしかないのですが、テコの原理が使えないのですっごい株を抜くのが大変です。 pic.twitter.com/OdPuAcycX2
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 18, 2019
今年初着果させた幸水のジョイント(4年目)が、櫛の歯が欠けるようにポロポロと白紋羽病で枯れてしまいました。
画像は4株連続でご臨終…。
ジョイント栽培は密植で根圏が近いため(特に幸水は)、土壌病害が一度発生すると連鎖で枯れてしまいます。 pic.twitter.com/OLnb6Xq3cG— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 20, 2019
「ジョイントで使うやつ」って言ってると絶対果樹農家だなぁって思う https://t.co/ye0FyVp0Oc
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 21, 2019
使用頻度は少ないけど、こういう細くて硬いノコギリ一個あると捗るよ。 pic.twitter.com/ymAjdlkmnJ
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 22, 2019
去年どれくらいの太さで切り戻したかは切り口を見ればわかります。剪定している木が、どれくらいの強さで切ればどれくらい伸長するかイメージできていると、都度都度切る強さを考えて手が止まることなく捗ります。 pic.twitter.com/GHVOXlUuPL
— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 26, 2019
捻枝できない系女子だけでなく、捻枝苦手系男子も、単にコツがわかっていない場合が結構ある。
1.カッターの刃先が枝に刺さって抜けないくらいの深さでしっかり刺し
2.正しい位置にキズを入れ
3.基部を両手で捻るのではなく、長果枝の先端側を下に引く(テコの原理)
と指一本で捻枝できる。ホントだよ pic.twitter.com/SpwaVY41qV— 橋本哲や@梨考察者 (@nashiyasan) December 27, 2019
生産緑地法の2022年問題
『あの空地も橋本さんの農地なんですか?』
梨園の隣にぽっかりあいた空地があったんです。
聞きかじった知識ですが
農地を休めるか聞いたことがあるのでそれなのかなー
とか軽い気持ちで聞きました。

あれは他の農家さんの土地ですね
あの状態なのでもしかしたら、もう少し後に
売るつもりなのかもしれませんね。
生産緑地の2022年問題ってやつですよ
生産緑地とは1992年に制定された『生産緑地法』で制定された土地制度
ここで生産緑地について簡単に説明します。
1992年に生産緑地法で定められた土地制度
特徴は
1 30年間の営農義務
2 相続税の納税猶予
3 固定資産税の優遇
の3つ
ざっくり書くと
1992年に『ここ農地だから』って決めた土地は
納税とか相続で優遇する代わりに
勝手に土地売ったり、農地以外の用途で使うの禁止な
だから農業30年がんばれ
生産緑地の2022年問題とは
さてこれで何が2022年に問題になるのかというと
この生産緑地は1992年に制定され
農地指定もこの年にまとめて行われました。
ということは
1992年から30年後の2022年に
30年間の営農義務が解除となり
農地を売却したり
宅地等別用途で届出をだすことが可能なるのです。
生産緑地の指定が解除されると
3 固定資産税の優遇
も無くなり一般と同じ扱いになり、
金銭的負担が増えることも
農地売却を後押しすのでは?
と言われています。
ちなみに世間一般で
生産緑地の2022年問題というのは
農地売却による地価の下落の懸念
を指すようです。
農家さんサイドの生産緑地の2022年問題の1つの事例
とはいえ農家さんサイドでの
2022年問題はもう少しいろんなことがあるようです。
なんらかの理由で離農して
例えばそれは年齢の寄る体力の衰えかもしれませんし
今年にあった台風のような突発的災害で
(台風の話はまた後ででてきますが)
再開が難しくなったりしたり色々あるでしょう。
ですが、生産緑地法で
30年間の営農義務が定められている以上
土地が売れないし用途変更もできないので
2022年がくるまで待つしかない、とかですね。
それがさっきの橋本さんの

売るつもりなのかもしれませんね。
生産緑地の2022年問題ってやつですよ。
の言葉なのだと思います。

ちょっと補足すると
農地って農業できると認識されないと持てないんですよ
なんというか・・・
やっぱ地面をいじるものだからいい加減にはダメで・・・
農地として運営しようとしてみたけど
上手くいかなくて撤退することになってしまう場合
その土地ってほとんど荒地になってしまうんですよね
なのでこの緑地法は
しっかりと農業をできる人に農業を営んで欲しい
という意味をもつものなのだと思います。
橋本さんが就農以来一番厳しかった2019年
2019年を振り返ってどうでしたか?

もう大変でした(笑)
前年の台風の影響による果実の小玉化
7月の天候不良に伴う幸水の収穫・出荷の遅延
豊水の生理障害
そして台風15・19号による果実と栽培施設への被害・・・・
私が就農以来最悪の出来の年でした。
>私が就農以来最悪の出来の年でした。
このフレーズがでるとは・・・・

それがまあ、精神的にも辛いんですけど
そうなると、やっぱり・・・・
お客さんの欲しいものを欲しい時にだせないことがあって
それが厳しかったですね・・・
収穫期を襲った台風15号と19号、そして大雨
ー今年(2019年)は例年より天災が多い年でした。
台風15号、19号に長期間にわたる大雨などありました。
実際に被害状況はどのようなものだったんですか?

果実の落下、擦れによる傷害
多目的防災網や梨棚基礎の破損
直売所や収納施設の損傷(窓ガラス、天井など)
販売面でもお客様対応などに追われたので
肉体的にも精神的に疲労しましたね
そういって梨畑の隅にある破れたネットを手に取る橋本さん

このネット、台風15号で
あそこの電線まで吹き飛ばされたんですよ(笑)
駐車場飛び越えて・・・・
約100m近くは飛んでますね

今回の台風などの被害のうち
9割は補助金が出ることになりましたが
申請に色々手間が生じており
まだ完了しておりません。
(インタビュー時点です)
やはり、というか色々大変そうですね

今回の台風で予約していただいた梨が
予約していただいた時期に対応できないことがあって
その時にキャンセルされた方もいたんですが
『橋本さんのところの梨が良いんです』
といって待って下さった方も少なからずいらっしゃって・・・
それはやはり嬉しかったですね
こっちは『お盆に間に合わせなきゃ!』と焦っていたんですが
こういうお客様は大切にしていきたいですね
それは嬉しいですし
そういうことが分かったのは不幸中の幸いですね

うちの白井市、千葉県東葛地方はまだ
被害が少ない方なのですからね
梨以外の農家さん含めて離農する決断をせざるを得ないほどの
被害にあわれた方がいることも考えれば・・・
今回の台風などから見えてきた課題や
梨農家さんの強い点ってありましたか?

米や野菜に比べ単価が高い果樹ですが
年に1回の収穫期が災害の多い時期とちょうど重なったり
一度受けた被害が翌年・翌々年の収量にも
影響を及ぼしたりするため、
経済的に大きな被害を受けやすいですね・・・

その他にも去年の台風の時に葉っぱが飛んでしまったので
思いのほか果実が小さくなってしまったり
気温が暖かいので果実が冬の休眠に入らない、
とかが起こるかも・・・

強い点については・・・・・
正直思いつかないですね。
前々から言われていた脆弱性が露呈した感じで。
ー今回の被害に関しては仕方ないと思うべきか
今後このようなことが定期的に起こりうると考えるべきか。

理想論を言えば後者で
危機管理という意味でも妥当なのですが
掛かってくいるコストが半端でないため
現実論を言えば判断が難しいところです。

例えば網を新しいものにする、
言われたらそうなんだけど・・・・
これはもう備えるしかないんですが・・・
まだそうとも言い切れず
その状態で投資するとなると・・・
決して安い金額ではないので

すると今の梨が作りにくくなるんですよね。
高温に強い品種もあるはあるのですが
やっぱり味の点でお客様に受け入れて貰えない可能性が高くて
そしたら冗談ですけど、もう梨は作らないって話も出るくらいで
その気温で作った梨が
果たして、マーケットインと言えるのかが・・・
もう代替の品種がなかなか作りづらいという、
梨業界の弱さがでてますね
ー業界って単語がでたところで
今回のことで梨業界全体としてでてきた課題もあると思いますが

さっきも言いましたが、ダメージを引きずりやすい。
他作物のハウス栽培農家でも起きている事態ですが
これを機に離農する人もかなり出てきている(特に高齢者)。
2~3年で収量はリカバリーできないんですよ

補助金を受けるためには
施設の減価償却期間中は営農をせねばならず
となると耐用年数の長いものに適用できず補助を断念
結果、離農してしまう

細かく言うと
ニッチな設備なので大災害の際に施工してくれる業者が全国的に少ない
→見積もり取れない
資材の供給(生産)間に合わない
マンパワー不足で施工できない
→国の補助申請期間注に間に合わない
→申請できない
→離農。
っな流れですね・・・
ーちょっと話がかわるんですが
去年(2018年)5~6月くらいに
普段より梨の成長が早くで収穫が前倒しなるかも
って橋本さん言ってましたよね?
でも、結局ほぼ例年通りの収穫時期で落ち着いた

あれね(笑)
例年より気温が高くて育ちが早かったのですが
高温で昼夜の温度差がなく
結局収穫が遅れて例年通りになりまして。
ーじゃあ、結局そこは特に変わらず、と。

いやそれが良かれと思って
「お客様に早めに注文ください」としたアナウンスが
首を絞める結果になって・・・
当然荷がなかなか出ない、
日付指定に間に合わない、
催促と問い合わせに苦慮
となりました(笑)
梨業界の未来と課題
―梨業界の今後について少し聞かせてください。
橋本さんを含めて、梨業界を進化させていく
動きはどうなんでしょうか?

明らかに栽培環境が変化している
(気候だけでなく経済等においても)。
広義の意味で「現在」に合わせた
そして「未来」を見据えた農業をしていかなければならない。
we must change to remain the same.
(変わらずに生き残るためには、変わらなければならない)
ルキノ・ヴィスコンティ監督の名画「山猫」に出てくるイタリア老貴族の言葉

『作れば作るだけ売れる』 というプロダクトアウトの時代には
農家は職人でよかったが
モノ余りの今はマーケットインの発想を持ち
また自らが価値を想像するという仕事をしていかなければいけない。
というか今更こんなことを言っている時点で相当遅れている。
梨業界の未来の話になると
橋本さんの顔が凛とした表情に変わる。
それだけ梨業界の課題を肌身に感じているのだろう。

団塊世代の年齢によるリタイアで
産業構造が大きく変わるので次を担う世代には今大きな変化の中に
自分たちがいるということを意識して
梨作りのプロだけではなく
経営者としての矜持を持って農業に従事してもらいたい。
とりあえず来年は「復旧」。そこにコストを掛けたい。
ーこんなのできたらいいな
みたいなのはありますか?

そうですね・・・・
研修制度とか欲しいかな
ー研修制度、ですか?

全員受けなきゃいけない研修
ーまたどうしてです?

研修うけたら『共通言語』が使えるじゃないですか?
そしたら課題が共有できる
共通意識をもって対処できるんですよ
ーえーっと、言葉が通じないんですか?(笑)

日本語としては大丈夫なんですが
農作業中に使う単語とかが農家によって違うなんてことがザラなんですよ
農家さんなんて、大多数親父の仕事を継いでるから
その家だけのローカル言語がたくさんある。
それが各農家で集まっても全然話が進まないことがあって(笑)
ーそうなんですね(笑)

だから『課題を共通意識として対処』
するまでのハードルが高いんですよ
まず相手の言語理解から始めるので(笑)
なので、農家を始める時に研修を受けて貰えたらみんな共有言語を持てるので
課題の共有も今よりはスムーズにいくかなって。

個人では課題持ってるんですけど
個人でできるレベルでしかないから
その課題を共有して何とかしようってなりにくくて・・・・
みんなでその課題を共有すれば
これはみんなでならできるよね、とか
大きい企業や団体に依頼してみようとか
といった動きに繋がるかもしれないのに
だから業界で解決に規模感が必要な課題が
ずーっと終わらないままなんです
橋本梨園の橋本さんのインタビューは以上になります。
お忙しい中時間をとっていただき感謝の念に絶えません。
梨農園の運営大変だと思いますが
ぜひ来期も橋本さんの美味しい梨を
届けてくれることを今から楽しみにしています。
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