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カフェや飲食店を出店する際の
立地や物件の選び方、看板の考え方です。
CafeSKでは立地選定・物件取得を
開業する上で非常に重要視しており
立地1.0 マクロデータと商圏分析
立地2.0 自店データ分析(開店前なら事業計画)と顧客動線(ミクロデータ)
立地3.0 自店と地域や近隣店舗との相性
の3段階に分けて考えます。
Contents
適切な立地と物件選びに勝る販売促進は存在しない
本題に入る前に
一般的に販売促進というと
チラシやHP、アプリにSNS、有料広告などが浮かびますが
一番効果が高いのは店舗そのものと看板です。
弊社ではクライアント様のお店に入る際に
必ずお客様アンケートを実施し情報を収集するのですが
『このお店をどこで知りましたか?』
の問いは7割以上が
『お店の前を通りがかって気づいた』
と回答しています。
少ない時でも6割、多い時は9割がこの答えです。
チラシやSNS、HPももちろん
必要ならやるべきではありますが
その前に適切な場所に出店することで
お客様がより来店することになり
他店が販促にかけている時間やエネルギーを
そのまま目の前のお客様を喜ばせることや
料理やドリンクのサービスを向上させるために
集中することができるので
お客様の満足度が高まりお店が繁盛することになります。
まずは事業計画書or出店戦略書
立地や物件を選ぶ前に
自分がどんなお店を始めるかをはっきりさせて下さい。
そのためには事業計画書を作ることが一番です。
事業計画書の作り方はこちらにまとめてあります。
立地選定で一番必要なのは想定ターゲット
事業計画書を作る一番の理由は
あなたのお店のサービスが一番響く
お客様像をはっきりさせることです。
これによって単に
『駅名』『家賃』『駅からの距離』
で物件を選ぶという一番お店が潰れる方法を避けて
自店のサービスの満足度が高い立地を選ぶことできるので
永続的な繁盛店を営むことが可能になります。
不動産屋さんはあなたのお店が繁盛する物件がわからない
物件のことなら不動産屋さんに聞けばいいじゃないか?
と思うかもしれませんが
不動産屋さんはあなたのお店が繁盛するための
物件はわからない、と思ってください。
なぜなら不動産屋さんは
あなたのお店の事業計画を知らないからです。
どんなお客様に対して相性が良いサービスで
月間想定売上がこのくらいなので
どのくらいの家賃だと利益がでるとかはわかりません。
傾向としては
不確定多数に対して効果的な物件
コンビニなどに向いている
いろいろな属性の人が数多く通る場所
が良い物件と勧める傾向があります。
それはそれで間違ってはいないのですが
その延長線上であなたのお店を経営した場合
(個人で借入含めて総資金1000万の場合)
家賃と売上のバランスが現実的ではありません。
しっかりと不動産屋さんにあなたのお店の
事業計画を理解してもらってから
勧めて貰う物件なら話は別です。
そのためにも事業計画を作成し
第3者に説明できるようにしておく必要があります。
ただそれでも完璧ではありませんので
当方で平均満席率を含めた実査をし
物件取得の判断をする必要があります。
先に物件や立地が決まっているなら?
繁盛する確率で言えば
事業計画を作成してから立地を選ぶのが確実ですが
先に物件が決まっていることもあります。
その場合は物件の商圏を調査、分析した上で
自店の得意なことを盛り込みつつ
その商圏と相性が良いサービスのお店の事業計画を作りましょう。
立地1.0 マクロデータと商圏分析
商圏とは
商圏とは
店舗まで主要交通手段で
日常的に通うことができる顧客が存在する範囲
を意味します。
商圏には
『範囲』と『密度』
があります。
『範囲』はそのお店に目的来店するお客様がいる区域
『密度』はその商圏内から目的来店するお客様の多さです。
商圏範囲は主要交通手段で広さが
顧客動線のベクトルで形が変化します。
商圏密度ですが商圏内のある特定の箇所から
自店にくるお客様の数が非常に多い場合
それはあとで説明するPC(需要集合体)になります。
商圏の把握に必要なのは商圏規模と平均満席率
店舗の売上は
その商圏内の市場規模
つまり商圏規模が大きければ大きいほど
高くなる可能性が高くなります。
この商圏規模は人の多さで測る方がいるのですが
それよりもその商圏で動く金額の大きさ大事です。
その商圏で動く金額の大きさとは
商圏の人数と商圏の経済力で表すことができます。
これを図るの目安となるのが
商圏の『世帯数』と『世帯年収』です。
商圏の世帯数
商圏の人数よりも
商圏世帯数が即戦力となりうる数字です。
世帯数を出すうえで商圏の広さの定義が必要ですが
徒歩・自転車をメインに考えて
500m~1kmほどに設定することが多いです。
自動車来店の目的の店舗は商圏は広くなりますが
それでも500m~1kmの範囲
にある程度の世帯数は欲しいですね。
商圏の世帯年収
商圏の世帯年収です。
1つの目安として都内だと
年収700万以上の世帯が
商圏内にどれくらいあるかが
判断基準になります。
その理由として
店舗のビジネスモデルの話になるのですが
個人でカフェやレストランといった飲食店を開業する時
値段の安さで勝負するのはお勧めできません。
大手資本の規模を活かした企業努力を
もろに影響をうけることになります。
(余談ですが、日本は300円前後で
駅そば、牛丼、ラーメン等
いろんなものを食べることができますが
あの価格であのクオリティのものを
選ぶことができるのは日本だけです。)
となると、
より価値が高いサービス
満足度が高かったり
独特の価値を提供することにより
値段は平均より高めに設定するのが
基本戦略になります。
その戦略を実行する際に
『その価値がわかり、支払い能力がある』
立地に出店することが最重要課題になります。
言い換えると
『違いがわかる人が商圏に存在する立地』
を選ぶということです。
例えばあなたが
一杯600円のコーヒーを提供しているとします。
コーヒーの判断基準が
コンビニのコーヒーだったり
シアトル系チェーン店の人にとっては
価格を見た時点で
『高い!ありえない』
となる可能性が高くなかなか
購買に結びつかないかもしれませんし
なにかの機会で飲んだとしても
『美味しいは美味しいけど
値段ほどの価値を感じなかった
あれなら、シアトル系のコーヒーの方がコスパが良い』
と判断されてしまうかもしれません。
しかしそのコーヒーは
スペシャリティーコーヒー豆を使用し
自家焙煎で丁寧に仕上げて
ペーパードリップで一杯ずつ淹れていて
飲む人が飲むと
『これは600円なら安い!
普通なら800円~1000円はする』
すると気づいてくれるものです。
その人はあなたのコーヒーを
同じようにその価値がわかる人達に
口コミで宣伝したり
SNSに投稿してくれたりするでしょう。
価値の違いがわかる人が多い立地にだすか
それともわからない人が多い立地にだすか
はお店の運命をそのまま左右します。
そして違いが分かったうえで
あなたのお店を日常的に使うことができる
経済力があるかどうかも大事です。
違いが分かったとしても
それを楽しむには厳しい収入では
お店への来店回数や単価アップ
つまりは売上高には見込みにくいです。
だからこそ
その価値がわかり、支払い能力がある立地に出店すること
が必要なのです。
それができるのは
立地選定・物件取得時しかありません。
物件を取得してから
その商圏の質を変えることはできません。
物件選びに成功した結果
その商圏の人達が広めてくれたので
地域や業界で有名な繁盛店になり結果
『商圏の外からも人が呼べるお店』
になることがほとんどです。
商圏規模が大きくてもニーズがなければ意味がない
さて商圏規模の大きさは
世帯数と世帯年収で判断できますが
『価値が分かる、違いがわかる人がいるか』
は世帯数と世帯年収だけでは判断できません。
(世帯年収が高い方が価値が
わかる人が多い傾向にはありますが
そうでない商圏もしばしば存在します)
つまり
『価値が分かる、違いがわかる人から発生したニーズ』
を計る必要があります。
商圏に『ニーズがどのくらいあるか?』
は非常に大事なのです。
間違えないように書きますが
ニーズがあるかないか、ではありません。
『ニーズがどのくらいあるか?』
が大事なのです。
当然のことですが
どんなに商圏規模が大きくても
必要とされないサービスは売上に繋がりません。
なのでつい『ニーズがあるかないか』
で判断しがちなのですが
カフェや飲食店の場合は
『ニーズがあるかないか』のような
0か100かのような2択だと
『ない』ことはほとんどありません。
ちょっと厳しい書き方になりますが
なかなか売上があがらないお店の人も
『常連さんはうちの味が好きだと言ってくれるんだけどね』
と良く言います。
どんな業態でも商圏にそのお店のニーズは存在します。
だからこそ大事なのは
『ニーズがどのくらいあるか?』
なのです。
この『どのくらい』を
わかりやすくするために
商圏の売上を数式にしてみます。
商圏の売上の数式
商圏の売上=商圏の規模/ニーズの規模(%)
この商圏の売上の数値が高い所に出店すると
繁盛店になる確率が高いと言えますね。
例えば商圏規模が1日1000万の土地に
(話の簡略化のためのわかりやすい数値にしてあります)
自店の業種やコンセプトのサービスへの
ニーズが全体の40%あったとすると
その商圏には400万分の
あなたのお店へのニーズがあることにあります。
そしてこの400万を商圏内で
同一ニーズにサービスを提供している
店舗や業態が『競合』することになります。
この競合で商圏の売上を分け合う形になります。
この商圏の売上をわけあった
1店舗あたりの売上を数式にすると
(ここでは簡略化のため商圏外来店や
ECサイト等の売上は無視します。)
1店舗あたりの売上の数式
1店舗あたりの売上=商圏の売上/店舗数
さてこの数式で使った『店舗数』ですが
商圏の売上を『どのニーズ』で換算するかで
大きく変化します。
例えば商圏に『カフェ』のニーズが60%あるとします。
商圏規模が先ほどと同じ1000万として
商圏の売上の式に当てはめます。
1000万/60=600万
この商圏に『カフェ』が6店舗あるとします。
これを1店舗当たりの売上の式に当てはめると
600万/6店舗=100万
つまり1店舗平均1日100万です。
これだけ見ると個人店としては
圧倒的に強い数値に見えますね。
次は『ランチ』のニーズで調べてみましょう。
70%あったとします。
1000万/70=700万
ランチ競合店舗が100ありました。
700万/100店舗=7万
つまり1店舗平均1日7万です。
カフェのニーズから概算した規模と比較して
7%しかありません。
このようにニーズしだいで
数値は大きく変わるので1つだけの
ニーズで商圏を判断するのは危険です。
いくつかのニーズを試算した上で
最終的に自店が勝負できるかを判断する必要があります。
このニーズを実際に調べるために必要なのが
これから説明する『平均満席率』になります。
平均満席率とは商圏のニーズを数値化したもの
平均満席率とは
商圏の店舗をニーズや
シチュエーション、マーケット別に
いくつか選定した上で満席率を計測し
その全ての店舗の満席率の平均を出したものです。
出店予定の地域に自身のお店のサービスに対する
ニーズがどれくらいあるかを数値化できるので
出店前の立地判断基準としては大変効果的です。
例 夜カフェのニーズに対しての平均満席率
ある地域でアルコール提供を含む夜のカフェ営業を
売上の主軸においた店舗を開業するため
35歳男性が仕事帰りに利用する
19:00-20:00の時間帯で
カフェ 2軒
レストラン 2軒
居酒屋 2軒
バー・バル 2軒
計8軒を対象店舗にしたとします。
対象店舗それぞれの満席率を調査し
8(軒)で割ったものが平均満席率です。
この場合だと対象店舗から算出した
平均満席率は57,5となります。
詳しく書くと
この地域の全体で
30代男性が利用する店舗の
19:00-20:00の満席率は57,5
つまり半分より少し多い程度
ということです。
この平均満席率が少なければ
そのニーズに対する店舗の供給過多
つまりお店が多すぎなのを意味します。
逆に平均満席率の値が高いと
そのニーズに対する店舗の供給過少
ニーズに対してお店が足りていないことを意味しているので
ただニーズを満たすように
シンプルに出店するだけで一定の売上が見込めます。
ニーズと時間帯は区別して計測する
これはどういうことかというと
間違えやすい例として
『12:00-13:00』の計測=『ランチ』
ではないということです。
12:00-13:00でもお茶利用する人はいますし
15:00でもランチをする人がいますよね。
そこを踏まえて
13:00-14:00のランチ利用の平均満席率を調査
と『時間』と『ニーズ』を明確にすることで
平均満席率を測定した時の状況をはっきりさせるのです。
競合店の把握 ~どこのマーケットで競合するか把握する~
この平均満席率の測定したお店ですが
直接的にしろ間接的にしろ
競合店になる確率が非常に高いお店です。
なので平均満席率を測定するついでに
『A店は全時間帯のカフェ利用で競合』
『B店は11:00-15:00のランチ利用で競合』
などお店がどこで時間帯とニーズで
競合するかを把握しておきましょう。
これをしておくと
出店前の営業戦略や販促プランを考える時
非常に具体的かつ即効性の高いものを立てやすくなります。
TG(交通発生源)
TGとは
Traffic Generator(トラフィックジェネレーター)
の略称で日本語で訳すと
『交通発生源』となります。
買い物をしたり、通りがかったり
施設を利用したりなどのさまざまな理由で
立地内で他の箇所よりも
人が集中して往来する場所を指します。
どこがTGになるかは立地で変わるのですが
一般的には
駅、大型交差点、ショッピングモール等商業施設
役所等公的施設、学校、大型病院、商店街など
がTGになることが多いです。
下にイメージ画像を載せますので参考にしてください。
ただ実際は現地の状況の確認
特に自分のお客様になる人がどれだけ歩いているか
を確かめてください。
一般的にTGでも自店にとってのTGとは限りません。
むしろ一般的にはTGかどうか怪しいけど
自店にとってはTGな場所を見つけることが
家賃が少ないけどお客様に認知される確率が高い物件
つまり、少ない固定費で高い売上を高確率で
作ることができる物件であると言えます。
PC(需要集合体)
PCとはPotencial Cluster(ポテンシャルクラスター)
の略称で日本語では『需要集合体』の意味です。
PCには条件として
・通いにしろ、住んでいるにしろ人々が密集していること
・その地域が移動を遮るもの(鉄道・河川・森林・大規模工場等)で囲まれていること
・その地域の出入り箇所が少ないこと
・その地域の行動傾向が近いこと
があります。
先ほどTGを説明したイメージ画像だと
右上にあるマンション密集地域が
右側に河川、左側に公園
駅に向かう道は1箇所のみとなりPCになります。
ただ密集しているだけでなく
動線が限定されることが重要なポイントです。
さらにPCにいる人の属性傾向が近く
その傾向がこちらのコンセプトを相性が良いと最高です。
この例であげた
マンションやオフィスビル密集地帯
もしくは複数の大型オフィスビルがある所
がPCになることが多いです。
駅前超一等地にだせない個人店が押さえたい『PC由来のTG』
このPCですが
規模の大きさや使用用途の都合上
駅前から少し離れたところにあることが多いです。
なので、その周辺の物件は最寄駅前と比較して
家賃が抑えられていることが多いです。
なので資金が豊富ではない個人開業としては
このPCから集客できる物件を見つけることができれば
少ない家賃で大きい客数を見込むことができます。
ベストとしては『PC由来TG』にある
物件を見つけることがですね。
商圏の形を読み取る
商圏の形を読み取るには
ここまで書いたTGやPC
その他建物や道筋といった立地上の要因に加え
想定顧客の主要交通手段も大きく関わってきます。
(主要交通手段はこの後の立地2.0にて)
徒歩がメインなら商圏は狭くて読みとりやすい形で
交通手段が自動車など遠方から来店できる交交通手段の場合
商圏範囲は広くなり、形は正円から遠くなりになります。
立地2.0 自店データ分析(開店前なら事業計画)と顧客動線
自店データ分析には事業計画書作成は必須
一番はじめにも書きましたが
自店のスペックで提供するサービスが
呼びたいお客様が必要としているかどうか
生活の中でどの役割を果たすのかを
確認するためにも必ず事業計画書は作成してください。
どんなにあなたのスペックが高くて
素晴らしく美味しい商品を提供できたとしても
お客様に必要とされなければ
お客様の人生の中で役割がなければ
売れることはありません。
なぜなら自店のお客様になる人がわからずに
立地が選べません。
自身のスペックを最大限に
活かすことができる物件を探すためにも
事業計画書で自身とお客様の情報を把握する必要があります。
顧客動線を知るには顧客情報と行動パターンを知ること
立地1.0でTGを解説しましたが
仮想顧客(ペルソナ)と予想顧客リストの作成した上で
行動パターンを書きだして
顧客動線をまとめたり仮説を作ります。
この顧客動線上であること
もしくは顧客動線からの視認性をふまえて
物件を選ぶ必要があります。
主要交通手段の把握
顧客動線を知る上で
お店前まで来るための主要交通手段の把握は必須です。
さきほども書きましたが
商圏も主要交通手段で大きく変わります。
主要交通手段と特徴は以下の通り。
徒歩
・徒歩圏内500mが一番計算しやすい商圏。
自転車
・『駐輪場』がTGになる。
電動自転車
・『駐輪場』がTGになる。
・主婦層が使うことが多い
・起伏が多い土地であることが多々ある。
・普及率が高い立地は商圏の世帯年収が高く
・多少の遠方も商圏として計算できる。
オートバイ・原付
・車より圧倒的に駐車がしやすい
自動車
・道路に対する進入角度が大事
・駐車場もしくはコインパーキング必須
ここで大事なのは
お店の前まで来る交通手段なので
電車はよほどでないと該当しませんので
特徴は割愛させて頂きます。
物件の見つけ方
空いている物件の見つけ方ですが
ネットで検索すればいくつもでてきます。
でてきますが、ネットででている時点で
わかりやすく優良な物件はすぐ埋まりますし
経験上、良い物件はネットの情報にでてきません。
理由として物件の店舗が閉店が決まった時点で
次の借り手を探しに入るのですが
大家さんの心境として
『信頼できる筋で決めて、家賃収入が途切れないようにしたい』
が本音なので担当する不動産業者もその意向をふまえて動きます。
なので意向を踏まえて動きている時の
不動産屋さんと連絡とることがベスト。
その為には出店予定地域で
店舗物件に強い不動産屋さんと繋がることが大事です。
そのためのポイントは
・出店予定地の店舗と仲良くなる
・その店舗の人に不動産屋さんを紹介してもらう
になります。
詳しくはこちらで解説しています。
視認性は2種類ある
この後『物件の視認性』と『看板の視認性』
について書きますがその前に
視認性は『即視認性』と『後視認性』の2種類ある
ことを覚えてください。
『即視認性』とは
見つけたらすぐ入店できる状態で視認することです。
どこかのお店に入店目的で歩いていたり
行くお店を決めてきてそのお店を見つけた時などです。
この即視認性と違い
『後視認性』とは見つけた時に入店できない状態で視認することです。
一番多いのが通勤通学途中に見かけることですね。
学校や会社に行かなければいけないので
お店に行くことはできませんが視認されています。
毎日通う道なら何回も目にするので
記憶に残りやすく、検索で調べてくれたり
SNSでフォローされたりを経て
後日来店に繋がるケースです。
また電車やバスの景色から見えたり
他のお店に向かう途中にたまたま見つけたりなども
後視認性になります。
観光地などは即視認性が強く
郊外立地は後視認性が強い傾向にあります。
一見即視認性が強い立地にだしたいと考えがちですが
リピーターを掴みやすいのは
後視認性な土地であることが多いです。
物件の視認性
物件の視認性、つまり
その地域でその物件がどれくらい気づかれやすいか?
ということです。
停止時に正面からまじまじとみて
『これだけ目立つならみんな気づいて繁盛するはずだ』
と思い込みたくなる気持ちはわかりますが
視認性が強く気付かれやすい物件とは
移動中の視認性とTGやPCからの視認性に強い物件です。
移動中の視認性
移動中の視認性とは
徒歩、自転車、自動車など各交通手段の最中に
お店がどう見えるか?になります。
ここで気づかれやすいと
即視認性の効果が高くなるのはもちろん
『後視認性』も強くなり
後日来店に繋がることが多いです。
TGやPCからの視認性
TGやPCからの視認性とは
TGの場合、人が多く集まるTGから
その物件がどのように視認できるか、ということです。
一番多い事例は交差点ですね。
交差点で信号待ちで待っている間に
お店に気づいて貰える物件かどうかです。
PCの場合、マンションやオフィスの場合は
建物の中からの視認性
(窓から見える景色など)
もしくはPCから外に行く
限られた道筋からの視認性です。
看板の視認性
次に看板の視認性です。
基本的な考え方は物件の視認性と同じですが
店舗看板以外にお店に繋がる通りの入口の立て看板や
ロードサイドの野立て看板など
お店から離れた場所でも視認してもらうことができる
飛び道具的に使うことができます。
使用料が発生する場合もありますので
費用対効果のバランスを考えながら適切に使いましょう。
生活のどのタイミングで物件と交わるのか?
視認性について書きましたが
顧客がその物件を視認できる箇所を通らなければ話になりません。
ましてや個人の出店開業の場合
誰もが通る駅前一等地は厳しいところ。
駅から少し離れているけど
自店の顧客が通るところを見つけるためにも
その道を通る理由があるがが
ある程度わかりやすい所を選びたいところです。
通勤途中?
子供の送り向かえ?
スーパーへの買い物?
駐輪場への途中?
などいくつかの理由を具体的に
ピックアップできると強い物件ですね。
スケルトン物件のメリットデメリット
スケルトン物件のメリットは
・店舗コンセプトに限りなく寄せた店舗設計ができること
・長期的に考えた資金繰りが計算しやすいこと
です。
店舗設計が自由なのは言わずがもだと思います。
長期的に考えた資金繰りが計算しやすいのは
全ての機材状況を入店時に確認できるので
機材入れ替えのタイミングなどが
ある程度把握できるので
機材トラブルによる急な出費が防ぎやすいのです。
デメリットとしては
店舗設計、デザイン、機材など
全て自店で用意するのでどうしてもある一定の金額は必要。
都内なら900-1200万は見ておく必要があることです。
居抜き物件のメリット・デメリット
居抜きのメリットは
・出店費用は安くすむことが多い
・出店までの期間が早い
の2点です。
なので
『できるだけ安く費用を抑えて、早く売上を作りたい』
ので居抜き希望の方は多いですね。
デメリットとしては
・結果スケルトンよりも費用がかかることがしばしばある
・費用対効果が悪い物件である確率が高い
の2点です。
居抜き物件の場合機材のほぼすべて中古品で
前のお店が購入した時すでに中古であることなんてざらです。
結果、冷蔵庫、製氷機、スチコンなどは頻繁に故障して
修理に費用がかかり、結局新たに購入することになり
造作譲渡費(居抜き物件内の機材の買取費用)
を含めると高くついたなんてことは普通にあります。
また店舗設計も自店に合わせたものではないので
あとで施工が必要になり
(多いのは食器洗浄機の設置と
テイクアウトやEC販売のための機材設置)
費用が高くついてしまうことがあります。
費用対効果が悪い物件である確率が高いとは
高い確率で売上を上げるのが難しい物件
自店の相性が悪い立地の物件ということです。
これは商圏を調査すればわかることですが
前の店舗の閉店理由がわかるとなおのことです。
悪くないサービスを提供していたのに
経営不振で閉店していた場合は注意が必要です。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
立地3.0 自店と地域や近隣店舗との相性
立地1.0では国勢調査等を利用したマクロデータと
PCやTGをふまえて調べる
立地2.0では事業計画書をもとに
自店データを分析して適切なペルソナを作成し
行動パターンを割り出すこと
また物件や看板の視認性の必要性を書きました。
この2つに加えて近年カフェに限らず
繁盛している飲食店に共通する価値観として
地域の店舗を競合として見るだけではなく
自店の商品とコラボさせて新しい価値を作り出したり
近隣店舗で新たに商店街を始めたり
店舗が連なる通りに名前を付けて名所にしたり
オーナーやスタッフさん同士それぞれの店舗に行きあい
SNSにアップしたりコミュニケーションをとるなど
なんらかの形で繋がりながら営業しているお店が増えました。
カフェや飲食店が
店舗同士で繋がりが可能な立地や物件に出店することが
令和の繁盛する条件の1つになりつつあります。
実際に谷中にある『キッテ通り』は
2016年に愛称をつけて
2018年に台東区に申請し認可
1つ1つが個性的なお店の集まりで
谷根千でも話題の通りになっています。
ただこのような取り組みは
どの地域や商店街でもやっているわけではありません。
そのような文化が一切なく
お店それぞれで運営している地域もたくさんあります。
なので
・地域として盛り上がっていること
・近隣店舗が自店のサービスを相性が良いこと
を物件取得前に確認しておきたいです。
ただしこれは
立地1,0、2,0それぞれがクリアしていることが前提です。
とはいえ、近隣店舗と相性が良い場合
往々にしてターゲットも近いことが多いので
大丈夫なことが多いですけどね。
最後に 目指すのは商圏のTGとなるお店
色々書きましたが
自店のSPECを100%だしきれる商圏を選んだなら
あとはもう繁盛するかしないかはあなたしだいです。
商圏の顧客のハートをがっつり掴んだなら
商圏外からもじわじわとお客様が増えて
繁盛店になることでしょう。
するとあなたのお店や
その周りのお店目的で人が集まることで
新たな動線ができることになります。
大つけ麵博3連覇の千葉県松戸市の
ラーメン店『中華蕎麦 とみ田』は
遠くからも人が訪れる名店なのですが
訪れた人達は松戸市を中心に展開している
とみ田の別ブランドはもちろん
松戸市の他のラーメン店にも注目することになり
今現在松戸市が全国でも有数のラーメンの街になっています。
その動きは松戸駅前だけにとどまらず
少し離れた八柱付近でも
個性的なお店が集まっています。
こちらの記事でお店をまとめてありますので
良かったら読んでみてください。
ぜひご自身の相性が良い立地をしっかりと選んで
あなたのお店が『商圏のTG』になるべく
繁盛していただきたいと思います。
参考書籍
この記事を書くにあたり以下の書籍を参考にさせていただきました。
林原琢磨著『繁盛立地の判定・分析・売上予測』
琢磨君はもともと一緒に仕事をしている仲で
大手フード企業からも依頼がくる立地分析のスペシャリストです。
【立地コンサルタントの林原琢磨氏とのコラボセミナー】
ジャムセッションスタイルで全員参加型で繁盛店を笑いだらけの中徹底分析させていただきました。https://t.co/L6UKkqCkZv#カフェコンサルタント#カフェ#カフェ開業#飲食店開業 pic.twitter.com/MbPXPWjMuK— たきざわCafeSK@白湯が好き (@yousuketakizawa) April 30, 2017
せっかくなのでサインしてもらいました(笑)
サインさせていただきました笑#お店の立地コンサル https://t.co/Ysr3HflaS2
— 林原琢磨@性格診断「エレメンツコード®」 (@takuma_hakobune) February 19, 2020
この記事で書いたTGやPCの概念は彼から教えてもらいました。
私のメインターゲットではないですが
30店舗以上出店しているお店の市場調査班の方に特にお勧めです。
井澤岳志氏著 『7つの超低リスク戦略で成功する飲食店「開業・経営」法』
これは立地だけではなく
飲食店開業全般の本ですが
極めて現実的な出店戦略が書いてあり
カフェ開業する人には非常に参考になります。
『平均満席率』はこの本から学びました。
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