牛丼の吉野家の定期券と松屋の松券セレクトから読み取る販促戦略

     

吉野家の期間限定定期券

定期券のサービス内容

牛丼の吉野家さんが面白いサービスを始めています。
お店の前通ったら『吉野家定期券』の文字
なんか面白そうなので買ってしまいました。
吉野家 定期券購入価格

値段は300円 これで
2017/9/15~2017/10/23までいつ来店しても 丼・定食・80円引きになるカード
です。
なので単純に計算すると
4×80=320円なので
4回使えばお客様からすれば元が取れる計算になります。
ちなみに牛丼並盛が一杯380円ですので
なんと約2割引きになります。
吉野家の利益率がはっきりとはわからないのですが
一般的にこの規模のチェーンのこの単価のお店利益率が
だいたい2割くらいなので 牛丼並盛の場合だと
利益がすべて飛んでいく計算になります。
ちなみに吉野家ホールディングスの系列店舗の
はなまるうどんで使うとてんぷらが1つサービスになります。

追記 2018/4/1〜5/7で定期券サービス復活です。
その後の不定期に定期券販売してますね。

吉野家さんの販促の狙い

1 吉野家さん利用頻度のアップと習慣化

牛丼並盛の場合利益が飛んでいくリスクを負ってまで
なぜこの販促キャンペーンを始めたか。
(まぁ、牛丼並盛以外ならほぼ利益はでる計算になりますが)

この定期券は期限があります。
2017/9/15から2017/10/23までなのですが
さきほど
4回使えばこのカードは元が取れる
と書きました。

瀧澤がカフェをコンサルティングする時に
必ずクライアントさんに話すことで
2ヶ月で3回きたお客様は常連さんになる確率が70%になる』
というものがあります。

この3回来てもらうための期間は
単価が高くなると長くなって
単価が1万円の飲食店だと半年に3回くらいです。

さて、吉野家さんの場合この方式を当てはめると
ちょっと期間が短くなって
1ヶ月半に3回来ると
常連さんになる確率が70% かと思われます。

そして今回のこの定期券の日数がマックス38 約1ヶ月半。
なのでこの定期券の販促で
吉野家さんを常連になってもらう
吉野家さんで食べることを習慣化してもらうこと
がこの販促の目的と思われます。

そう考えると二度目の定期券サービスを
2018/4/1にスタートさせた意図も見えてきますね。
新入社員や新入生など、生活習慣が変わるこのタイミングで、
吉野家さんやはなまるうどんさんを利用することを
習慣化してもらうことが狙い
ですね。

2 はなまるうどんさんとと吉野家さんでの顧客交換

吉野家ホールディングスのHPによると
日本国内の吉野家の店舗数は1196店(2017年8月現在)
はなまるうどんの店舗数は438店(2017年8月現在)
になります。

この店舗数の高い2店舗は
吉野家ホールディングスの他の系列店舗の
京樽や千吉に比べると
顧客客単価が近い店舗なので
定期券購入者へのもう一方の店舗への
利用動機に繋がりやすいと思われます。

今回の販促キャンペーンで店舗数購入者に
牛丼の時は吉野家
うどんの時ははなまるうどんの習慣づけられれば
今回の吉野家定期券は目的達成で万々歳なわけです。

松屋の松券セクレト

『松券セレクト』とは

さて吉野家さんで定期券サービスが始まったと思ったら
松屋さんではその約3か月前
2017年6月21日から
事前メニューQRコード発行システム 松券セレクト』
が始まりました。 松屋の松券セクレト 簡単に言うと
松屋に来る前にスマホで頼むメニューを決定すると
QRコードが発行されて お店についたら
券売機に
QRコードをかざすだけで終了
というサービスです。

券売機における顧客の不満を解消

これは松屋さんだけではなく
ラーメン屋さんなど券売機(食券機)スタイルのお店あるあるですが
券売機の前で何にしようかと選んでいる間に
後ろに並ばれると焦ってしまう、
というものがあります。

特に松屋さんならなおさら。
しかしこの松券セレクトなら
例えば電車内でスマホでメニューを選んでおいて
入店したら券売機にQRコードをかざしたら終わりです。

なんてストレスフリーなんでしょう。

ちなみに松屋さんは券売機で購入した時点で
厨房に何を買ったか伝わる仕組みになっていますが
もしかしたら松券セレクトでも
同じ仕組みになっているかもしれませんね。
そうなると松屋さんの提供スピードがまた速くなる可能性があります。

2019年9月4日 松屋さんが券売機専用定期券のクーポン配布をスタート

2019年9月4日 松屋さんが券売機限定定期券の配布をスタート

ニュースで聞いて驚きました。
写真のクーポン券を券売機で使用すると
2019年10月31日まで
牛めし・カレーは30円引き
定番どんぶり 50円引き
定番焼肉定食 70円引き
になるサービスです。

いやQRコード便利だな。
お店のオペレーションがさほどほぼ変わらないのは
従業員のモチベーションの観点から大きい。

ちなみに今回の松屋さんのサービス。
吉野家さんと同じように見えて
目的がちょっとだけ違うようなのです。

まず吉野家さんは300円
(smartnews経由だとさらに割引)
なのに対して松屋さんは無料で配布なこと。

金額が吉野家さんは一律80円なのに対し
松屋さんはメニューで変動すること。

吉野家さんは他業種
(はなまるうどんなど)
で使用可能なのに対し松屋さんが
今現在は松屋さんのみなこと
(将来的にとんかつの松乃屋さん
あたりは絡めてきそうですが)

表面的なことはこのあたりなのですが
個人的に一番気になったのは
キャンペーン期間中のお店の外観です。

こちら今回のキャンペーン期間中の
松屋さんの外観写真です。
(2019年9月8日現在)

2019年9月4日 松屋さんが券売機限定定期券の配布をスタート

2019年9月4日 松屋さんが券売機限定定期券の配布をスタート

おわかりでしょうか?

松屋の券売機限定定期券の配布を
お店の外に一切掲げていないのです。
ちなみに店内にも一切掲示されていません。
オーダーした料理と一緒に
定期券も運ばれてきました。

吉野家さんが定期券を売り出すときは
お店の外に大々的に宣伝しています。

これが何を示すのかと言うと
松屋さんはこのキャンペーンを
新規顧客の獲得ではなく
既存顧客満足度及びに来店頻度の向上が目的だ
ということです。

それぞれがフォーカスした顧客へのアピールポイントとは?

今回は面白いくらいに
吉野家さん、松屋さんのフォーカスポイントが
はっきり分かれました。

牛丼というと 『早い、安い、美味い』 がキャッチフレーズとしてでてきますが
吉野家さんは『安い』の部分に
松屋さんは『早い』の部分にフォーカスしてきました。

吉野家さんはこの券売機全盛のご時世に直接会計にこだわり
そのシステムを活かせる『定期券』というシステムで
値引きを動機に顧客来店回数の増加を狙ってきました。
その吉野家さんとは逆に松屋さんの松券セレクトは
積み上げてきた券売機システムオペレーションに
QRコードを組み合わせて 顧客の常習化した不満と入店から
提供までのスピードをあげて
食事にかける手間と時間を短縮することで
顧客満足をあげて売上の増加を狙ってきました。

 

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