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繁盛しているお店と閉店するお店の決定的な違いとは?
飲食店の開店と閉店を見続けてきた15年間
瀧澤は飲食業界に関わって15年以上になりますが
コンサルタントとは別に
実際に現場で働いた店舗として
・オフィス街の個人経営の行列ができる飲食店のスタッフ
・住宅街の個人経営の行列ができる飲食店のスタッフ
・大手資本のホテルのイタリアンのオープニングスタッフ
・大手パスタカフェチェーン店のリニューアルオープニング
・大手チェーン中華料理店の新規出店のオープニングスタッフ
・個人経営で4年で潰れたカフェの準オープニング(開店して数か月後入店)スタッフ
・個人経営で5年で潰れた飲食店のオープニングスタッフ
・大手チェーンのラーメン業態で8年で潰れたお店のスタッフ
と多種多様な飲食店の業種に関わってきました。
またコンサルタントになってからも
新規開業サポートは数多く関わらせていただきましたし
友人や知り合い、また一お客の立場からも
いろんな飲食店の開業や、繁盛していく姿を
また残念ながら閉店していくお店を多数見てきました。
飲食店が閉店する一番の理由は経済的に成り立たなくなったから
閉店の理由は
長年経営してきて体力的に限界がきたとか
テナントのビルが改装するからとか
他の場所に移転することになったからとか
いろいろありますが
一番多いのは経営が成り立たなくなったから、
言い換えると、経済的に厳しくなったから
つまり、売れなかったからが一番多いです。
売れる理由を作ることで飲食店の経営は成立しやすくなる
なので『売れる理由』を作れば店舗経営は成立しやすくなります。
売れる理由を数多く作れば作るほど、
もしくはより強力な売れる理由を作ることで
お店は続いていく確率が高くなります。
飲食店で働いていた頃は自分でお店をだすつもりで
コンサルタントになってからはクライアントさんために
『売れる理由』を作り続けてきました。
簡単に売れる理由をまとめると
カフェや飲食店の売れる理由
売れる理由なんていくらでもあるんですか
ざっくりとわけると
その1 ターゲットを想定し、コンセプトを整える
お客様があなたのお店に来る理由を作るということです。
お店に来てほしいお客様を具体的に設定し
そのお客様が来たくなるコンセプトを作るということです。
コンセプトは自店側だけでなく
近い業態の競合となりうるお店も想定し
自店がどのポイントで勝負すればか
お客様に選んでいただけるかをも考え想定します。
その2 利益がでるようにビジネスモデルを整える
カフェや飲食店は基本のビジネスモデルが
来店客数×来店客平均単価=売上
になります。
なので、この式内で欲しい利益がでるようにビジネスモデルを作るか
カフェのように低客数×低単価の業態で
飲食店基本のビジネスモデルだけでは厳しい場合には
『満席になった後のビジネスモデル』
を整える必要があります。
例をだすと
・テイクアウトや卸による席数に囚われない利益
・適切なイベント主催やスペース貸し出しによるコミュニティ作りによる、来店頻度と平均単価のアップ
・飲食の枠にとらわれない、お客様に喜んでもらえる高利益サービスの設定(ネットワークビジネスや協会ビジネスではない)
ですね。
店舗経営に集中すれば自然に確実に利益がでるビジネスモデルを作るということです。
その3 お店の経営を支えるメニューを作る
これは全部メニューにという話ではなく
お店の1つだけ、看板メニューに必要な条件です。
この条件がそろっているものを看板メニューにすればお店の経営において
大きな武器になります。
これはまたどこかでこのサイトでしっかり解説しますがとりあえず要点はこれです。
①貢献できるメニューかどうか(美味しい+α)
②『未知への感動』と『既知への安心』の味の構成になっていてシズル感を作り出せているか
③ピーク時に待たせず提供できるか(同時に3~4人前は調理可能か、調理工程の8割は営業前に準備できるか、など)
④利益がでるか
⑤安定して仕入れることができるか
⑥心に残るメニュー名、キャッチフレーズはあるか
⑦9割の人がそのメニューを写メをしているか
⑧新しい食べ方の提案ができているか
ですね。
そしてこのメニューをベースにして
・相性がいいもの
・同じ材料を使うもの
・同じ調理器具や厨房機器でできるもの
を判断材料に他のメニューやメニュー構成を考えます。
その4 適切な販売促進を実施する
具体的に施策を抜粋すると
店舗の外観をどうするか?
周りの風景と看板色合いをどう目立たせるか?
チラシやティッシュをどこに何枚配り、それを見て何人来店したか?
どうやってFacebookページにいいねをしてもらうか?
InstagramやTwitterをフォローしてもらうか?
Instagramのハッシュタグはなにするか?
検索エンジンでそんなキーワードで見つけてもらうようにするか?
Webの広告はSNSで実施するか、リスティング広告でするか?それとも?
店舗アプリは自店専用にするか、共有型にするか?
とかとかいろいろありますし
お客様側からの流れでみるなら
認知、興味、情報収集、他店と比較して来店までの流れ
もう一度お客様にコンタクトをとり、再来店してもらうまでの流れ
常連になって、単価と来店頻度が高くなるまでの流れ
ファンになって、あなたのお店をプラットフォームにしたコミュニティができるまでの流れ
が具体的に設定できているか、になります。
『売れない理由』を潰した方が『売れる理由』を作るより飲食店やカフェの経営を安定させることができる
ここまで飲食店やカフェの『売れる理由』作りを書いてきましたが
実は『売れる理由』を新たに作るよりもお店の経営を安定させる方法があります。
それは『売れない理由』を前もって潰しておくことです。
冒頭に書きましたが。数多くの繁盛店や潰れるお店を見てきました。
そのすべてのお店に共通することなのですが
『売れる理由』を作ろうとしないお店なんてないのです。
調理スキルを全て詰め込んだスペシャリテや看板メニューかもしれない
開店前に1時間、開店後に2時間かけて綺麗に掃除したお店のクリンリネスかもしれない
お客様に1分早く提供するために突き詰めた店舗オペレーションかもしれない
お客様のことを知ろうとし、その情報をスタッフで共有することで、お客様がいつきても常連さんのようにお迎えできるよう仕組みかしたサービスやホスピタリティかもしれない
毎日コツコツブログ記事を書くことで作りあげたSEOかもしれない
Facebookページで毎日発信し続けることで、繋ぎとめたお客様かもしれない
どのお店もそのお店なりに真摯に『売れる理由』を全力で作っているのです。
それでも『繁盛するお店』と『潰れるお店』がでてしまう。
その2つ作りお店の違いは何か
それは『売れる理由』作りではなく
『売れない理由』を前もって潰しているかいないか
といえます。
そして
『売れない理由』を潰せるかどうかは
開業前の融資を申請する前に
売れない理由を潰すために事業計画書を作成し
実行するために必要な『初期投資額』を正確に把握したうえで融資を申請し
その事業計画書に沿って『お店の立地』を選定し
開業を実施する以外ありません。
なぜ融資申請前なのか?
売れない理由の潰し方がわかっていても
資金が足りず、実際に潰せないのではなんの意味もないからです。
だからこそ、売れない理由を潰すことを事業計画書に組み入れ
それを実現させるために必要な資金を融資で調達し『売れない理由』を潰すのです。
そしてこれは断言しますが
『売れない理由』を抱えたまま『売れる理由』を作る経営よりも
開店前に『売れない理由』を潰してから『売れる理由』を作る経営の方がはるかに楽です。
『売れない理由』が存在することで『売れる理由』が無効になってしまう悲劇
例えば
長年イタリアレストランでパスタを作り続けた人がパスタカフェをオープンするとしましょう。
・そのパスタの調理スキルを存分に生かすために素材を選別した手作り生パスタのカフェ。
・客単価は1000円に設定。周りのお店と比較して1000円でこのクオリティのお店は無いとの判断。
・店舗内動線は見やすく、掃除しやすく、そしてオペレーションがスムーズになるもの設計。
・サービススペックの高いパートナーをホール責任者として雇いホスピタリティはばっちり。
といった『売れる理由』を作ったとしましょう。
しかし
・他店の1000円の料理との調理スキルの差がわかる人が少なく料理の差を気づいてもらえない。言い換えると、その調理レベルのものを食べ慣れている人が少ない土地である
・お店のサイトをスマホから見た場合、読み込み速度が遅く3割の人が読み込みが終わる前に離脱してしまう。
・サイトに飛んでも、お店のコンセプトやメニューのアピールが全面にでていて、アクセスがわかりにくい、もしくはGooglemapに対応していないなどで、来店に結びつかない
・来店したお客様にたいしての、再来店を促す方法、言い換えるとお店から離れた場所にいるお客様に思い出してもらう方法が無いため、お客様の満足は非常に高いのに、再来店率が大幅に下がってしまう
といった『売れない理由』があるため経営が厳しくなり潰れてしまう、ということが多々あるのです。
『売れない理由』を潰すために必要不可欠な『事業計画書』
では『売れない理由』でお店が潰れることを防ぐにはどうしたらいいか
1 事業計画書をしっかりと作る
2 その事業計画書に基づき売れる理由が多く、売れない理由を潰せる(売れない理由が存在しない土地が理想ですが、まったくない土地は現実的ではないので)立地に出店する
になります。
事業計画書をしっかりと作る、とはどういうことか?
飲食店やカフェを開業する時
事業計画書と関わる機会が多いのは
融資申請時に提出する事業計画書かと思われます。
(融資についてはカフェ開業資金調達での日本政策金融公庫のお勧め融資一覧)
下の図は日本政策金融公庫で融資申請する際に
使用することができる創業計画書の用紙です。
日本政策金融公庫の『創業計画書』の用紙
中身はというと
1 創業の動機
2 経営者の略歴等
3 取り扱い商品・サービス
4 取引先・取引関係等
5 従業員
6 お借入れの状況
7 必要な資金と調達方法
8 事業の見通し(月平均)
9 自由記述欄
の9つの項目にたいして用紙に記入してください。
となっています。
この創業計画書は事業計画書としての役割は果たしきれていない
要するに
開業する際にこの項目だけでは足りないです。
この日本政策金融公庫の創業計画書の項目は
開業するうえで極めて最小限の内容となっています。
イメージとしては
これ以外に事業計画書を作った上で
まとめの一枚とか、抜粋されたもの
と思ってください。
しかし、多くの飲食店開業者はこれで
事業計画書作成を終えてしまいます。
言い方を変えると融資申請後の
お店の命運を分ける立地選定を
A4一枚の事業計画書作成と己の勘で行うことになってしまうのです。
実際に飲食業という利益率が10~20%と極めて低いビジネスにおける事業計画書として
この創業計画書の完成度が低いと結論づけているのは
他ならぬ、日本政策金融公庫なのです。
自己資本比率から読み取る飲食店の事業計画書の完成度
その証拠として
飲食店開業の際に日本政策金融公庫から指定される自己資本比率があげられます。
自己資本比率とは、
必要な開業資金のうち
〇〇%は自分で用意してくださいね。
というものです。
例えば、開業資金が1000万の場合
自己資本比率が50%と言われた場合
自分で500万ある場合、500万貸しますよ、というものです。
じつはこの50%という自己資本比率は
飲食店開業の一般的な比率なのですが
これが事業として成功確率が低い、
つまり事業計画書の完成度が低いと判断されている証拠です。
実は、飲食店ではない事業で
日本政策金融公庫がこの事業計画書や実績から
この事業の成功率が高く、利益も創出しやすいと判断された場合
自己資本比率は10%台まで低くなることがあります。
しかし個人が最初に飲食業を開業する為に
日本政策金融公庫から資金を調達しようとすると
ほぼほぼ自己資本比率50%になってしまいます。
これは
『事業として成功する確率が低いからこれしか貸せませんよ』
ということなのです。
事業計画書で売れない理由を潰すとは
メニュー開発やクリンリネス
店舗工事や厨房機器といった店舗工事費や
物件取得費といったお店周りのものだけではなく
お客様の認知から最終的に利益を出す方法まで
ビジネスモデルの埋めるべき場所に1つ1つ施策を決定することです。
埋めるべきところが穴が空いていると
それが『売れない理由』となり経営を圧迫するのです。
さっきのパスタのお店なら
・他店の1000円での調理スキルの差がわかる人が少なく料理の差を気づいてもらえない。言い換えると、その調理レベルのものを食べ慣れている人が少ない土地である
→調理スキルの違いはわかる人が多くいる土地、言い換えると経済的に余裕があり、よりハイレベルな料理を多く食べている人が多くいる土地を選んで出店する(『売れない理由』でお店が潰れることを防ぐための方法の2つめの『売れない理由を潰せる立地に出店する』ですね)
・お店のサイトをスマホから見た場合、読み込み速度が遅く3割の人が読み込みが終わる前に離脱してしまう。
→モバイルフレンドリーなサイトに変更し、読み込み速度を5秒以内にして離脱を防ぐ
・サイトに飛んでも、お店のコンセプトやメニューのアピールが全面にでていて、アクセスがわかりにくい、もしくはGooglemapに対応していないなどで、来店に結びつかない
→アクセスを画面上部に常時表示されるよう設定し、Google検索からもGoogle my businessに登録して見つけやすくし、Googlemapも埋め込む
・来店したお客様にたいしての、再来店を促す方法、言い換えるとお店から離れた場所にいるお客様に思い出してもらう方法が無いため、お客様の満足は非常に高いのに、再来店率が大幅に下がってしまう
→フードやドリンクをサービスすることと引き換えに、SNSをフォローしてもらうことでSNSで発信して店舗外でもお店の情報が届く環境を作る
などを事業計画書で前もって『売れない理由』を潰しておくことが大事です。
瀧澤のクライアントさんは
売れない理由を潰して事業計画書を作成して
自己資本比率20%を切る融資を受けることに成功しました。
言いかえれば日本政策金融公庫からそれだけ完成度の高い
事業計画書だと認定してもらったということです。
5年以上続くお店のほとんどが事業計画書を作りこんでいる事実
ここで最初のタイトルの
繁盛しているお店と閉店するお店の決定的な違いとは?
の答えをいいます。
もうおわかりかと思いますが
繁盛しているお店と閉店するお店の決定的な違いとは
開店前、融資申請前に事業計画書をしっかり作ったか作らなかったか、です。
飲食店は5年で7割潰れる業態といいますが
瀧澤の周りで経済的理由で5年以内でお店を閉店した人で
事業計画書をしっかりと作りこんでいた人は1人もいませんでした。
逆に、瀧澤の周りの個人で行列店を経営している人や何店舗も経営している人、
もしくは出店して10年以上続いている店舗を出店した大手資本チェーン店は
全て事業計画書をきっちりと作成しています。
では具体的に事業計画書をどう書くか?
では実際に事業計画を作る際にどう書けばいいのかについては
こちらで解説していますのでご覧ください。
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