カフェや飲食店で厨房機器など
設備投資をする際に知っておきたい
財務諸表の判断基準の1つROAの記事です。
実際に厨房機器を事例にして解説しています。
なおここで実例としてあげている設備は
あくまで参考事例としてあげています。
実際に購入される際には自店に適切かどうか
しっかり考慮したうえで判断してください。
また本文中でたびたび設備ごとの利益率を求める際に
『この設備のROAは~』
と表現していますが、
厳密に書くと違います(笑)
ROAは『Return On Assets』の略です。
例えば、後で計算するスチームコンベクションオーブンの利益率
を英語で単純に略すとROS、Return On Steam convection ovenなので(笑)
ただその度に略を変えていると読みにくいので
『スチコンのROAは~』
と表記していますのでご理解ください。
Contents
カフェ・飲食店舗の設備投資の基本は『利益をあげることができるか』
カフェ開業前に、もしくは開業後でも
店舗施工や厨房機器、機材など設備投資は
お店の段階に合わせて必要になります。
その時に、つい子供がおもちゃを欲しがるがごとく
設備を購入してしまうことの無いようにしたいです。
この設備の購入を実りある『設備投資』にするには
『この設備を購入した時にどれだけの利益がでるか』
を客観的に判断する必要があります。
その時の判断基準の1つとしてROAがあります。
財務諸表の指標『ROA=総資産利益率』とは?
利益と設備、だけではなく店舗全体を資産を考えて
その資産からどれだけの利益を生み出しているかを図る指標として
『総資産利益率(ROA:Return On Assets)』
があります。
数値で表すと
ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
このROAは
店舗の資本をいかに効率的に運用できているかを表しています。
このROAは店舗厨房機器はもちろん
スタッフに払う人件費など
全て資産で利益をそれだけ生み出しているかが数値で判断できます。
ROAが高ければ利益を効果的に
生み出せている店舗であると言えます。
とは言ってもROAが高ければ問題がない
というわけじゃないんですけどね(笑)
そこまで書くと財務諸表の専門な話になってしまうので割愛。
ここで書きたいのは
このROAを使ってざっくりとでいいから
設備の効率を考えてから投資しよう!
ってことです。
『総資産回転率』とは?
財務諸表で総資産利益率と似た概念で
総資産回転率があります。
これは売上高が総資産の何倍あるか(何回転しているか)
により店舗が全ての資産をどれだけ効果的に活用したかを表したものです。
数値で表すと
総資産回転率(%) = 総資産÷ 総売上高
になります。
乱暴な書き方をすると
ROAは資産と利益の関係で
総資産回転率は、資産と売上の関係で
店舗経営を判断しています。
(どうでもいい話をすると、総資産利益率はROAで略すのに
総資産回転率はなんで略さないのだろう?)
利益が増える設備投資の基準とは?
利益が増える、とは以下4&1で考えるとわかりやすいです。
細かいこと言うと『タブってる』ところもありますが
合計で正確な数字をだすというより
設備の稼働率をわかりやすい基準で理解することが
目的なので良しとしてください(笑)
売上が増える
まず一番シンプルなのが『売上が増える』です。
1日5万利益率が10%のお店の利益は5000円ですが
売上が8万になれば、8000円になります。
ただ店舗増加による売上は考えないようにします。
利益率があがる
1日の売上が8万で利益率10%なら利益は8000円ですが
これが15%になれば利益は12000円に増えますね。
経費が減る
1日の売上が8万で利益率10%なら利益は8000円だと
残り90%にあたる72000円は経費ということになりますが
この日のアルバイトを早上がりにして5000円浮かせて
なおかつ売上が変わらないのなら
この5000円は利益をだしたのと同じになります。
(ここが厳密にいうと、利益率があがると被るのですがそのまま進めます)
時間が増える
7時-22時で働いていたのが
売上をさげることなく8-21時にできたら
空いた2時間分を利益と考えることができます。
この2時間でさらに売上を上げるために使うもよし
今後の店舗戦略を練っても良し
休憩にあてて、心身の回復を図るもよしです。
この辺も細かく言うと利益が増える、
とは限らないことなのですが
今回はこのまま進めます。
&1 オペレーションの負荷を軽減する複数の機能を持つ
利益も増えるし、経費も減る話なので被ってしまうのですが
設備投資は人ではできないこと
もしくは代わりにするためにするものですが
企業や工場と違って飲食店の場合、
設備が役割を複数持つことがあります。
例えばエスプレッソマシーンは
エスプレッソを抽出することで
エスプレッソ単品はもちろんカフェラテ作成や
ひいてはラテアートサービスに繋がります。
設備投資の3段階
必ず投資すべき設備や機器・機材
まずこれがなければお店の経営が成立しない、ものです。
ほぼどの店舗に当てはまるのが
業務用冷蔵庫やレジ、シンクに作業台換気扇あたりでしょうか。
生パスタがメインメニューなら
時間内に素早く生パスタを仕込むために
電動パスタマシーンはも必要でしょうし
エスプレッソやラテアートがメニューの中心なら
エスプレッソマシーンが入るでしょう。
総資産利益率が大幅に上がるので必ず投資すべき設備や機器・機材
経営が成立しない、までいかないですが
これを設備投資すると大幅に利益があがる
逆言うと、設備投資しないと大きな損失を被るものです。
この代表格は業務用食器洗浄機です。
後でも書きますが、食器洗浄機に設備投資せずに
全て人の手による手洗いで対応することは
経費を減らす面でも、時間を増やす視点でも
大きな損失であると言えます。
設備投資の資金が確保できしだい投資すべき設備や機器・機材
設備投資をすることで利益はでるが
それより優先するべき設備投資するものがあり
資金に余裕があるなら投資すべきものです。
『カフェ・飲食店開業で繁盛店になる事業計画書の書き方』の『事業予測(3年分)』
にも書きましたが、
時間かお金かどちらかを基準にして
どの時点で投資するか計画しておきましょう。
以上の考え方を踏まえた上で実例で考えてみましょう。
実例1 食器洗浄機を設備投資するか否か
初の設備投資で飲食店舗未経験な人ほど購入をためらうものに
業務用食器洗浄機があります。
洗い物くらい自分やスタッフにその度手洗いすればいいや
と思うかもしれませんが
飲食店経験者からすると食器洗浄機無しで
店舗営業するなど考えたくないほど非効率です。
業務用食器洗浄機は人1人分の働きをすると評されます。
食器洗浄機を600,000円として
これに食器洗浄機用の洗剤を5,390円のものを使ったとすると
食器洗浄機600,000円
これに1月食器洗浄機にかかる
洗剤5,390円+水道代、電気代5000円=10,390円
(そんなにかかりませんが少し多めに計算してます)
アルバイトを時給1000円で8時間雇ったものと同等とすると
週一休みの月26日営業とすると1ヶ月の人件費が
1日8000円×26日営業=208,000円
となるので3か月で人件費が624,000円
食器洗浄機 600,000円+3か月分の洗剤、水道、電気代が31,170円
とすると、合計631,170円なので
ほぼ3か月で食器洗浄機の設備投資を回収することができることになります。
これをさっきのROAの式にあてはめると
ROAは年間で計算するものなので
業務用食器洗浄機600,000円+12か月分の洗剤、水道、電気代124,680=724,680円
利益を12か月分の浮いた人件費とすると
208,000×12か月=2,496,000
食器洗浄機利益率(%) = 2,496,000 ÷ 724,680 × 100=344,4%
もうすごい利益率です。
(この数値は初年度です。年が経過すると減価償却の分数値は変動します)
まぁ、こんな書き方しなくても
1年間で60万ちょいの投資で、250万近くのリターンがある
で十分通じますけどね(笑)
ここまで書いても、もしかすると
あなたは誰も雇うことないので関係ない
と思うかもしれません。
そんなあなたに衝撃のアンケートを。
といっても正式にとったわけじゃなく
口頭で聞いたものですが
食器洗浄機をいれないで開店した全てのお店が
『やっぱ食器洗浄機をいれれば良かった』
と言っています。
いつそう思いましたか?と聞くと
『ピークの後やパーティーの後に1人で延々2時間洗い物している時』
とほとんどのお店が答えています。
収まらずにテーブルや床にまでおかれたものも。
流れ作業でスムーズに洗いたくても
いっぱいのシンクがそれを許さない
洗った物の水切りスペースも足りない
拭く布巾もすぐにびちょびちょになっていまう。
そんなことを思いながら営業時間をはるかに過ぎた時刻に
洗い物を続ける自分
やっとの思いで洗い物が終わらせた後に、
お店の片付け、
会計処理等事務作業
明日の仕込みなどなど
まだまだやることがあるという現実・・・・
これは空想でも何でもありません。
忙しいお店なら普通に起こりうる日常なのです。
経験がある方ならわかるのですが
1人の場合洗い物の数が増えれば増えるほど
終わる時間が単純な作業時間以上に遅くなるのです。
食器洗浄機は
- 一度に手洗いよりも圧倒的な数の洗い物をこなすことができる
- 洗い物をしている間に別のことができる
(洗浄機が回っている間に、布巾で水気を拭いたり、はたまた仕込みをすることも可能)
の大きなメリットがあり、結果大幅な時間短縮に繋がります。
1人で手洗いなら2時間かかる洗い物も1時間かからず終わります。
なので、実際に後で購入するお店も多いです。
とはいえ開業した後だと
キッチンレイアウト変更や
専用の給湯器の設置など
結構手間もかかり、内装をいじると
開業に設置するより費用もかかることがあるのも事実です。
なので、食器洗浄機は開業時に購入することを強くおすすめします。
実例2 スチコン(スチームコンベクションオーブン)を設備投資するか否か
スチームコンベクションオーブン(スチコン)ですが
カフェに限らず、飲食店を始める方
特に前の職場でスチコンを使っていた方が
購入を希望される方が多いです。
気持ちはわかります。
スチコンはオーブンやスチームはもちろん
焼く・煮る・蒸すの調理にも対応
タイマー設定に芯温表示
さらには20分220℃でオーブンした後に
30分100℃で仕上げる、といったことを
あらかじめプログラムできる設定など
最新のものになればなるほど多機能で
まさに厨房の『スーパーカー』なのです。
(機能は一例です。機種によって異なりますので購入前に確認して下さい)
なので車好きがスーパーカーに憧れるがごとく
スチコンを買うことを決めている方が数多くいます。
さてそこでたまにいらっしゃるのが
スチコンとコンベクションオーブンを
なんとなく一緒にしている方です。
ただ『コンベクションオーブン』
で検索するとしれっとスチコンが混じっているので
仕方ないっちゃ仕方ないかもしれませんが(笑)
簡単に解説しましょう。
コンベクションオーブンとは
コンベクションオーブンとは
オーブンの中を熱風を循環させることで
食材に熱を通すタイプのオーブンです。
直火式と違い熱伝導が速く、短時間で熱を通すことができます。
またオーブンの中は熱風が対流するので
熱の通り具合にムラがでにくくなります。
スチームコンベクションオーブン(スチコン)とは?
スチームコンベクションオーブンとは
その名の通り、コンベクションオーブンにスチーム機能が付いたもの
つまり、熱風だけではなく、スチームや熱風とスチームの組み合わせができる
だけではないのがポイントでして(笑)
ここまでできるのだから他の機能も追加してしまえ!
と誰かが言ったのでしょうか?
先ほど書いたプログラム設定や芯温管理機能など
厨房スタッフが欲しいスペックが続々追加され
その結果スチコンとは
『スチーム機能が追加されたコンベクションオーブン』
ではなく、そのハイスペック及びスペックの種類の多さで
キッチン内で圧倒的存在感を示し
『厨房のスーパーカー』となったのです。
ただ買う前に2つ考えてほしいことがあります。
- スチコンの機能、どの場面でいくつ使いますか?
- コンベクションオーブンで代替できませんか?
スチコンの機能、どの場面でいくつ使いますか?
スチコンを購入する前に
スチコンのどの機能をどこで使うかを整理してみましょう。
例えば整理したところ
ローストビーフ仕込み時の加熱及び芯温管理
付け合わせの蒸しやオーブン野菜の一括調理
タルト、スコーン、ビスコッティ焼き上げ
バケット・クロワッサンの焼き上げ
フォン・ド・ヴォーを煮出す前の骨や野菜の過熱
スキレットメニューオーダー時のオーブン調理
などで使用するとします。
ここでさっきの食器洗浄機と違うのは
『人の手で代替がきかない調理がある』
ことです。
例えば
付け合わせの蒸し野菜の一括調理
フォン・ド・ヴォーを煮出す前の骨や野菜の過熱
は蒸し野菜は蒸し器を利用して
フォン・ド・ヴォーの骨や野菜はフライパンで焼き目をつけて
で人の手による代替は可能です。
ただし大幅な調理時間のロスにはなりますし
スタッフに任せた場合人件費も発生します。
そして
ローストビーフ仕込み時の加熱及び芯温管理
スキレットメニューオーダー時のオーブン調理
タルト、スコーン、ビスコッティ焼き上げ
バケット・クロワッサンの焼き上げ
はオーブンがないと実現不可能です。
これは代替がききません。
代替がきかない、ということは
それがないと関連商品の売上が発生しない
ことを意味します。
なのでメリットを単純化するために
人の手で代替が利くものを人件費
代替が利かないものを売上額
で表して、最後にROAを求めてみましょう。
まず代替が利くグループ
付け合わせの蒸し野菜の一括調理
→毎日 1日15分→1ヶ月6,5時間→年間 78時間
フォン・ド・ヴォーを煮出す前の骨や野菜の過熱
→フォン・ド・ヴォーを週2回仕込むとするし、一度の仕込みで1時間とすると
6日(1週)で2時間となるので、26日(1ヶ月)で4,25時間
4,25×12か月=年間 51時間
た時給が1000円と設定すると
1,000円×(78+51)=12,9万
年間で12,9万の経費削減になります。
この利益を売上から作るのは
利益率10%とすると129万円の売上が必要で
日の売上が10万とすると約13日営業分の売上に匹敵する経費削減になります。
次に代替が利かないグループ
ローストビーフ仕込み時の加熱及び芯温管理
スキレットメニューオーダー時のオーブン調理
タルト、スコーン、ビスコッティ焼き上げ
バケットの焼き上げ
設定として
この4つの作業で
ランチオーダーの7割
カフェタイムオーダーの3割
ディナーオーダーの4割
の売り上げを賄っているとして
1日の売上が8万、その内訳が
ランチ 4万
カフェタイム 1万
ディナータイム 3万
とすると、スチコンは1日あたりそれぞれ
ランチ 4万×0,7=2,8万
カフェタイム 1万×0,3=0,3万
ディナータイム 3万×0,4=1,2万
26日営業として1月あたり
ランチ 2,8万×26日=72,8万
カフェタイム 0,3万×26日=7,8万
ディナータイム 1,2万×26日=31,2万
これを1年(12か月)にするとそれぞれ
ランチ 72,8万×12か月=873,6万
カフェタイム 7,8万×12か月=93,6万
ディナータイム 31,2万×12か月=374,4万
それぞれすべて足すと
873,6万+93,6万+374,4万=1341,6万
ROAなので欲しいのは利益です。
なので利益率を売上の10%とすると
スチコンはこの代替の利かないグループで年間134,16万の利益を産出しています。
ここに先ほどの代替の利くグループで浮かした
年間人件費12,9万を足した
12,9万+134,16万=147,06万
がスチコンが年間で産出する利益です。
さてやっとROAが計算ができます。
スチコン利益率(%)=147,06万÷65,3万(2019/01/18現在のスチコンの価格) ×100=225,2
がこのスチコンが産出する年間の利益率になります。
簡単に書くと
年間65万の投資で150万近くのリターンが見込める
と考えてください。
さてここまで書くと洗浄機と同じように
スチコンも必ず購入する設備に思えますが
その前に1つの確認することがあります。
それが2つ目に考えることの
コンベクションオーブンで代替できませんか?
になります。
他の設備、特にコンベクションオーブンで代替できませんか?
例えばさっきの必要な機能の整理からだと
『ローストビーフ仕込み時の加熱及び芯温管理』
『付け合わせの蒸し野菜の一括調理』
以外はコンベクションオーブンで代替可能です。
なので、芯温管理を別の方法で
(時間と設定温度、仕上がり直前に金串突き刺して管理)
などで対応することでコンベクションオーブンでも可能です。
とはいえ、今後その作業をアルバイトに任せたいとか
その調理をしている間は別の仕込みや事務作業をしたい
と考えている場合はスチコンのほうが適切ですね。。
ただスチコンの利用がもっと限定的だとしたら?
例えばグラタンをメインメニューにした場合
グラタンのオーダーが入ったら
材料を容器に盛り付けて220℃で5分加熱なら
スチコンである必要はありません。
また、オーダーごとに加熱時間こそ変わるけれども
設定温度が変えることがないなら
コンベクションオーブンでなくても
ガスオーブンでもいいかもしれません。
むしろそれならガス下にオーブンを設置してあるタイプにした方が
ガスコンロで調理したものを即オーブンに投入できるので
オペレーションの速度が格段に上がる可能性が大きいです。
スチコンは人件費削減に大いに役立つ
ここまで書きましたが
スチコンの機能を活かす場面がしっかり想定できていて
さらにコンベクションオーブンで代替しきれないなら
ROAからふまえてスチコンを購入することはお勧めできます。
またROAで算出しにくいので書きませんでしたが
スチコンは、将来メニューを増やしたり改良する際に
いろんな可能性を広げることができますのでその点でもお勧めです。
逆に言えば
・コンベクションオーブンの温度を基本変更しない
・使う用途は2~3パターン
・何かのメニュー専門店で、将来新メニュー開発をする可能性が少ない
場合スチコンではなくコンベクションオーブンにした方が
ROAが上がる可能性が非常に高いです。
憧れてスチコンを買ったはいいものの
スチームの機能を最後の庫内掃除にしか使わない
となったらあまりに寂しすぎますから。
(スチコン清掃用の薬品も安いものではありませんし)
実例3 エスプレッソマシンを設備投資するか否か
エスプレッソマシーンが必要かどうかは
スチコンのところでも説明しましたが
代替が利かないから必要か
人件費削減のために必要か
になります。
スチコンが厨房の花形設備なら
エスプレッソマシンはカフェの花形設備と言えます。
お店の扉をあけると
ラ・マルゾッコのエスプレッソマシンがドーン!
の絵に憧れるのは仕方がありません。
なので、上2つのエスプレッソマシンを
さらに言うなら、ラ・マルゾッコのマシンを購入したい!
方はたくさんいらっしゃると思います。
さてこのタイプはエスプレッソマシーンは
軸になるメニューやブランディング作成のために
エスプレッソにこだわったり
デザインを重視したラテアート作成で必要になります。
ここで大事なのが購入する前に
エスプレッソマシーンを使用するメニューが
売り上げ全体のどれだけを占めるのか、
事業計画でどんな役割を果たすのかを明確にすることです。
例えば売上が1日8万のカフェの場合
その売上の内訳がどうなっているかが重要です。
エスプレッソマシンが1日8万の売上で5万を占める場合
コーヒーやエスプレッソがメインメニューで
エスプレッソマシンを使う必要がある売上が
1日8万のうち5万を占めるお店のROAを求めると
5万×26日営業=130万(月)
130万×12ヶ月=1560万
エスプレッソマシン利益率=1560万÷186,6万 (2019/1/19 現在の価格)×100=836,01%
になり、ROA上も必要と言えますし
1日5万なら、エスプレッソマシンのエスプレッソ作成口も2口必要でしょう。
エスプレッソマシンが8万の売上で0,5万の場合
しかし売上が1日8万のカフェの場合でも
メインメニューがフードがパスタで
ドリンクがハンドドリップの自家焙煎珈琲の場合
エスプレッソマシンの出番はそれほどないかもしれません。
8万のうち、パスタで4万
自家焙煎のコーヒーが店内、テイクアウト、豆売り
それぞれ合わせて2,5万、デザートで1万
エスプレッソマシンを使用するカフェラテやエスプレッソメニューが
0,5万としましょう。
(600円のカフェラテなら1日8杯、350円エスプレッソなら14杯)
すると
0,5万×26日営業=13万(月)
13万×12ヶ月=156万
エスプレッソマシン利益率=156万÷186,6万 (2019/1/19 現在の価格)×100=83,6%
このように同じ売上でも
お店のコンセプトやそのメニューの内訳で
ROAは大きく変わります。
後者のお店ならパスタとドリップコーヒーが大事なので
エスプレッソマシンを購入せず、
ドリンクメニューからカフェラテやエスプレッソを外してもいでしょうし
どうしてもメニューに入れたいなら、
サイズもコンパクトで値段もリーズナブルなタイプのマシンをお勧めします。
例えば上のこのタイプなら価格が80,540 (2019/1/19現在の価格)ですので
エスプレッソマシン利益率=156万÷8,05万 (2019/1/19 現在の価格)×100=1937%
となり明らかにこちらのほうがROAは良くなります。
それなら1日5万エスプレッソマシンが必要なお店でも
こっちを利用すればROAはもちろんよくなりますが
正直1日5万のオーダーをこなすにはSPEC不足かと思われます。
なのであまりにROAが高い場合は、
どこかに無理をしている箇所があると思われますので気をつけてください。
エスプレッソマシンを人件費削減で使いたい場合
レストランや席数が50席以上の店舗で
エスプレッソやラテアート以外にメインメニューがあり
オペレーションを円滑にするため
スタッフの仕事を代替するためにエスプレッソマシンが必要なら
全自動タイプのエスプレッソマシンが適切ですね。
ボタンを押したらそれぞれのドリンクの抽出開始、
そして完了するタイプなので
その間に砂糖やミルク、ソーサーにカトラリーなどを準備したり
はたまた別のオーダーを提供してきたり
お客様の対応したりできます。
エスプレッソマシンの1日の稼働時間を2時間として
その2時間は時給1000円のスタッフを2時間雇ったもの同等とすると
0,2万×26日=5,2万
5,2万×12か月=62,4万
エスプレッソマシン利益率=62,4万÷59万 (2019/1/19 現在の価格)×100=105%
の数値がでます。
言い換えると
購入して12か月経過した時点で人件費削減分で
エスプレッソマシン購入の元が取れる、ということですね。
もっとシンプルに
食後のコーヒーでしか使わないなら
このタイプで十分でしょう。
実例4 パスタ茹で麺機を設備投資するか否か
パスタ茹で麺機を投資する基準
さてこの記事のタイトルが
『厨房機器などに設備投資する時に必須の総資産利益率(ROA)とは?』
ではありますがパスタ茹で麺機を投資する基準に関しては
1 パスタがオーダーのどれくらいを占めるか
2 調理スタッフのスキルはどのくらいを想定しているか
で判断します。
その方がわかりやすいかと。
(もちろんROAだしてもいいんですけどね)
1 パスタがオーダーのどれくらいを占めるか
1日のフードオーダーが100としてたら
そのうち60がパスタオーダーなら確実に
特にランチタイムがパスタメインなら確実購入をお勧めします。
逆に、30以下ならガスコンロ対応で十分です。
31~59くらいだと判断難しいところですが・・・
考え方としてはさっき解説した食器洗浄機に近いです。
カフェを運営する以上必ず『洗い物』はすることになるので
それなら人件費や時間節約の観点から
食器洗浄機が設備投資として強くお勧めすると書きました。
それと同じで『パスタの調理』がどれだけあるかで
パスタ茹で麺機の購入を判断する、ということです。
パスタのオーダーが多ければ多いほど
このパスタ茹で麺機のROAは高くなります。
パスタ茹で麺機を使わずガスコンロで対応すると
火元を1つ使う(パンで振れるメニューが1つ減る)
麺を上げる時に腕がちょっと高い位置になる
お湯が減るので刺し水(湯)が必要
ガスコンロの上にある鍋が動線の邪魔になる
鍋が倒れるリスクがある
などが発生します。
もしパスタがそれほどオーダーに入る予定はない
しかし動線の邪魔になるのが気になるなら
もしくはさっきの31~59あたりなら
ローレンジを購入して対応する選択肢がいいかもしれません。
レンジが下にあるので大き目の鍋でも調理動線の邪魔になりにくいですし
ローレンジの上に水道をもってくれば差し水も楽です。
またパスタでなくても、調理中の動きを邪魔せず
スープや煮込み系の仕込みができる、という利点もあります。
2 調理スタッフのスキルはどのくらいを想定しているか
カゴが2か5か選ぶ基準
上のタイプだと1カゴに400g入る設計です。
400gで4人前とすると
2カゴなら一度に800g、8人前に茹でることが可能。
となるとパスタの茹で時間や
フライパンでの仕上げ作業の時間にもよりますが
全てパスタオーダーとしても
40席(満席率8割として、32人前オーダー)くらいまでなら対応できます。
ちなみにカゴは2つなので
ランチなどはパスタソースが2種類だとオペレーションは回しやすいですね。
(1カゴが茹で上がったら、そのまま1フライパン(ソース)で仕上げられるということです)
もちろんカゴの中のパスタを2つのフライパンに分けるも可能です。
ただ調理スキルがしっかりしてないと
パスタの量がバラバラになったり
フライパンのソースの水分がブレたりするので
調理スキルに自信がないならお勧めしません。
そしてこれはパスタの種類が1種類、もしくは2種類、
カゴの数よりもパスタの種類が少ないもしくは同数の場合です。
もし、スパゲッティ以外にリングイーネ
夏に冷製パスタに使うカッペリーニやフェデリーニといった
形状は太さが異なる乾麺パスタや
もしくは自家製生パスタも提供するとなった場合
例え人数的には2カゴで回せるとしても
5カゴを買う選択肢もでてきます。
さてここまで書きましたが
5カゴはもちろん2カゴでも複数のパスタを
上のパスタ用茹で麺機でオーダー対応できるのは
それなりの調理経験者、
現場で少なくとも1年はパスタ場を任された立場
もしくはそれ準ずる経験とスキルが必要になります。
逆にアルバイトに任せるなら1人前ずつ茹で上がるタイプがいいかもしれません。
パスタ、というよりラーメン屋さんで使われているタイプですね。
1人前ずつあがるので、量がぶれることはありません。
ただし複数人数分調理しなれた人にとっては
一度に複数人数の調理がやりにくくなるので不便だな、と感じるかもしれません。
ちなみにこのタイプだとロングパスタだとテポに入りきらない可能性があります。
なので、生パスタのお店がよく使っていますね。
さらに時間になると自動であがるタイプもあります。
これは、アルバイトがメインで厨房に入ることを想定した
大手資本の、パスタ屋さんやラーメン屋さんでよく使われています。
時間になるとテポがお湯の中から引き上げれて
そのままちょっと放置しておけば水気も切れます。
ここまで読んで頂いた方はどの機器を選ぶかは
そのお店のコンセプトやスタッフで決まることがご理解いただけたと思います。
応用 スチコンとエスプレッソマシーンどちらを優先して投資するか
両方とも高額の設備のせいか
スチコンとエスプレッソマシンどちらを購入したらいいでしょう?
どちらがお店にあった方がいいんでしょう?
といった質問をされることがあります。
ここまで読んで頂いたあなたでしたら
お店のコンセプトや状況に応じて選択することが大事
なのはご理解いただいていると思います。
その上でさらにわかりやすく判断基準の順番をまとめるとこの場合
1 代替できるかできないか
2 利益の額
3 ROA
になります。
まず代替がきかないのであれば買うしかありません。
両方とも代替がきかないのなら、
どちらがお店に大きな利益の額をもたらすかで判断し
それも同等ならROAで判断、するということです。
ただ、本当に両方必要で
それでもどちらかを選ばなければならない状況は好ましくありません。
両方とも設備投資できる資金調達のメドがついてから
開業することが一番ですね。
ただし『テンションがあがるから投資』も必要
とはいえまったく『テンションがあがる』要素をまったく考えないのも味気ないですね。
ここは数値じゃ表しにくいのですが、
その部分が他にないお店の空気感や働く雰囲気を形作ったりします。
さっきも書きましたが
扉を開けたらラ・マルゾッコのエスプレッソマシンがドーン!
は、お客様目線でもスタッフ目線でもテンションがあがりますし
厨房機器納入時に設置されているスチコンを佇まいを眺めて
『頼もしさを通り越してもはや神々しい』
と評した人もいるほどです(笑)
なので、テンションがあがるかで設備を決めるのも
悪くないとは思います。
ぶっちゃけ、それでうまくいくこともありますし(笑)
ただそれだけで複数の設備を決めていくと
費用が大変になることになりかねないのでお気を付け下さい(笑)
最後に
ここの記事でお伝えしたいのは
すべてのROAを計算してから購入しましょう、
ということではありません。
ざっくりでいいので購入予定の設備は
何に使えて、どのくらいの期間で元が取れるかについて
計算するきっかけになっていただければ嬉しいです。
このROAの使い方も会計士さんからすればツッコミ所が満載だと思いますし(笑)
ここではROAを、
設備からこれくらいの利益がでる
これくらいの人件費が削減できる
これくらいの時間が削減できる
を考える1つの物差しで使ってみてください。
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