幸楽苑の親指混入事件の対応から読み取る真の安全対策とは

スライサー清掃中に切った親指がチャーシュー容器に混入

 2016年9月10日に幸楽苑静岡清水インター店で提供されたラーメンに
スライサー清掃中に切断されたスタッフの親指の一部が混入してしまう、という事件が起きました。
 2016年10月21日に幸楽苑サイドは、26日までに全国3か所で店長を集め、緊急会議を開き再発防止対策を打ち
さらに27日は一斉休業し、スタッフ教育を徹底、さらに全店舗からスライサー撤去を決めた。

 スライサー
 円盤状の刃を回転させて、肉などをスライス。厚さも調整できるし切る時間も段違いに早い。
操作中のマシンはこれでもか、というほど安全装置がついているのでよほどのアクシデントが無い限り怪我することなないが、使用後分解して清掃するときに刃がむき出しになるため事故が起きやすい。

精肉店や大き目なレストラン、ラーメン店のチャーシュースライスや最近増えたローストビーフ丼専門店のローストビーフなどに頻繁に利用されています。

これが解決策になるのか?

幸楽苑サイドが再発防止の為
110月27日全店休業にしてスタッフの衛生管理教育
210月26日までに店長会議を実施し再発防止を徹底
3スライサー全店から撤去する
を発表した

1と2に関しては特に異論もない。
特に2の対策で中期的ビジョンでの対策が立てられることを望みます。
疑問を感じたのは3の発表。
問題再発を防ぐために根本を解決するのは、問題予防の基本だが
この場合のスライサー撤去が根本の問題予防になるのだろうか?

そもそもなんのためにスライサーを入れたのか?

スライサーを入れた理由として
・作業時間の短縮
・クオリティの平均化→幸楽苑さんは自動チャーハン機などマシンによる仕組み化を進めている店舗
・時短による人件費の軽減
・現場スタッフの労力軽減→仕込みではなく、お客様により集中するため
の4つがあげられる。
 このメリットのために決して安くない投資をしてスライサーを導入したはず。
まずこの4つのメリットがなくなる、ということだ。
 作業時間は長くなり、人件費はかさみ、商品クオリティはブレが出て、スタッフの仕事が増え仕事のクオリティそのものが低下してまう。
 とはいえ、飲食店で衛生安全はなによりも優先するべきことである。
 そのためにはスライサー撤去も仕方ない、と思ってのことかもしれないが
 結果むしろ、スライサー撤去によって安全衛生面が低下してしまう、
むしろ問題拡大になる、というのが瀧澤の見解だ。
スライサー撤去で予測できる上の4つを失う以外の弊害は下記の2つ。
特に②が致命的かと言える。

スライサー撤去で予測できる弊害 ①モチベーション低下

とあるチェーン店で料理の中にネジが混入事件するという事件が起きました。
調べた結果、トングのつなぎのネジが混入したとわかったので
トングをネジなしのものに変更しました。
しかしそのネジなしトングの使いにくいことたるや、なかなかのものだったらしく
圧倒的に作業効率が低下し、中には急いでいる時につい素手で食品に扱ってしまうというスタッフがでてしまいました。
(ちなみに瀧澤は素手で食品を扱うことは、適切な調理場で適切な衛生感覚がればなんの問題もないと考えます。実際それなりの高級店や個人店なんてほとんど素手ですし。あくまでこのお店は素手で触るのが禁止なので、トングを使っていたのにそのトングが使いにくいため素手でやる人がでてきたと、いう本末転倒なことが起きた、ということです。)
 そしてなにより
たった1人のミスのためになんで私たちが不便な想いをしなければならないのだ?
というモチベーションの低下が起きてしまいました。

スライサー撤去で予測できる弊害② 事故やトラブルの増加 

スライサーを撤去したところで幸楽苑のラーメンから
チャーシューがなくなることは金輪際ありえなません。
ならばどこかでチャーシューを切らなくてはならない。
考えられるパターンは2つ
1セントラルキッチンで全て切断した状態で納入する
2店舗でスライサー以外の方法で切断する
幸楽苑サイドの理想は、1だがセントラルキッチンからの納入ではあるが
これは工場設備投資や工場人員確保が必要なのですぐにではできない。
将来的にはあり得るかもしれないが、直近では厳しいだろう。
ちなみにセントラルキッチンシステムをとっているラーメン店でも
チャーシューを塊で納品し店舗で切る、というシステムがほとんどだ。
理由は単純で切り置きの時間が長ければ長いほど、圧倒的に美味しくなくなるのだ。
肉汁は抜け、パサパサになり、食べるに値しなくなる。
いくら幸楽苑がリーズナブルなことを売りにしていても、主力商品のクオリティを著しくさげることはしないを思われる。
なにかの技術革新が起きない限り、1の可能性は低い。

となると
2店舗でスライサー以外の方法で切断する
しかないのだが
スライサーが使えないのなら当然包丁できるしかない。
しかしはっきり言って、
チャーシューを包丁で切るのと
スライサーでスライスすること
どっちがスキルがいるかと言ったら圧倒的に包丁だ。
しかも、スライサーを使っていたということは
包丁でチャーシューを切る経験がほとんどないスタッフばかり。
おそらく
・切る早さが遅くなる、しかも2~3倍はかかる
・切る大きさがまちまちになる。小さすぎるチャーシューはロスになるし
大きすぎるチャーシューは原価オーバーだ。
チャーシューはラーメン原価でそこそこの割合を占めるのでこの差は大きい。
そしてなにより
・切断事故の増加。スキルのない人間、さらに包丁の研ぎ方も知らないかもしれないキッチンにある包丁の切れ味がいいとは思えない。
切れない包丁は無駄に力を入れることになり、結果切断事故や切り傷の増加に繋がる。

指切断のリスクも高まるし、切り傷の血液からによる黄色ブドウ球菌食中毒のリスクが発生することになる。

スライサー対策ではなにをするべきなのか?

スライサーの清掃方法の文字化のよるルールの徹底だ。

例えば
電源はぬいたか?→指さし確認
清掃をする前にゴム手袋はしたか?
スライサー周りは整頓されているか?
スライサー清掃をしていることを周りのスタッフは認識しているか?→周りに声掛け

などといった現場の経験を基にした対策作りをするべきだ
これをせずにスライサー撤去、というのは言い換えれば
スタッフを信用できない、という本部の意志と見てとれる。
マニュアルを作ったところで、実行できないんだろう?と。
アルバイトとはもちろん店長クラスも管理能力を信頼していない、と言っているようなものだ。
結果著しいモチベーション低下、特に店長クラスの低下が大きくなる
結果、離職率あがり、さらにスタッフクオリティが落ちるという負のスパイラルに陥ることになる。

信頼できるスタッフにするかどうかは本部しだい

大手飲食チェーンにありがちな前提として
自店スタッフ、特にアルバイトは信用できないからそんなスタッフにできるレベルで考えよう
というものがあるが、
それは本部ひいては、会社そのものの実力がそんなものである、と
自分で認めているようなものだ。
実際チェーン店でも、スターバックスさんや牛タンのねぎしさんのスタッフさんは
店長にしろバイトにしろ分け隔てなくしっかりしている。
誰が店長かわからないくらい、活き活きと高いサービスを提供してくれている。

人手不足のためすぐ現場に投入してしまう現状

マニュアルを作ったとして、それを実行できるほど信頼できるスタッフにするにはどうすればいいか
企業理念とルールをベースに徹底的に長いスパンでの教育をすることだ。
マニュアルの記憶、ではなく人財の育成。
そのためには店舗責任者が妥協しせず行動できることだ。
そのためには店長教育の時点で企業理念とルールをベースどこまで力を入れているかが肝になる。
しかし現実は、現場オペレーションが回せるから店舗責任者にしているお店が多すぎるように見受けられる。(立場上、店長ではなく平社員の立場で店舗責任者にしているお店に多く見られる。)
 ではなぜ、そんな店長が増えてしまうのか

店舗拡大基準の勘違い

 店舗を増やす基準は売上ではなく、スタッフレベルが満たされてから拡大すべきである。
しかし、実際に店舗スタッフレベルが低いところは売上増加できしだい、
もしくは見込め次第店舗数を増加する傾向になる。
結果、店舗あたりの社員在籍人数が少なくなっていき社員1人店舗も普通に存在している。
なかなか休めない不祥事を起こした電通真っ青のブラックぶりだ。
こんな状態でスタッフを育てるとか無茶苦茶であるだ
店舗をなんとか回すことに必死で教育できない。
結果、意志の伴わないスタッフが増え、マニュアルや対策をどんなにしたところで
いたちごっこのごとく問題が発生し続けることになる。

根本からの安全衛生対策とは?

・まず店長クラスのスタッフを企業理念とルールをベースに集中的に育て上げる。
・その店長が実力をだしきることができる環境作り→最低1店舗2人社員を入れるとか。足りないなら店舗数を増やさない。
・その店長のもと基本を教育されたスタッフで営業することで、衛生的にも品質的にも問題の起こらない店舗作りをする。

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