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ある移転したてのおそばやさん
大学のゼミ仲間の経営者Mとランチをしていたのですが
M『蕎麦が手打ちで結構好きで通ってたそば屋が近くにあったんだけど、最近うちの会社の隣に引っ越してきてさー』
瀧『へー、そりゃよかったじゃん、楽で』
M『で、引っ越してきた理由なんだけど、駅の近くに店舗を持ってきて夜のお客さんが欲しいらしいのね』
瀧『あー、おそば屋さんって、夜のつまみと酒で成り立ってたりするからなぁ。まー気持ちはわかる』
M『で、引っ越してきてなんか言われたらしいのよ』
瀧『なんて?』
M『高いって』
瀧『いくらよ』
M『もりで800円とか900円とか』
瀧『手打ちで美味しいんでしょ?ならそんなもんでしょ』
M『そう思うでしょ?なのに、値下げしたんだよねー』
瀧『えー?本当に?』
M『で、ランチセットのおそばだけ手打ち辞めて外注にしたんだけど、それが美味しくないんだよねー・・・』
瀧『あーあーあー』
M『で言ったのよ、「ランチのおそば前の値段でいいので手打ちに戻らないんですかー」って』
瀧『そしたら?』
M『したら店主さん「いやちょっと厳しいんだよね・・・あ、でもね夜のおつまみは1つ1つ丁寧にこだわってるからさ」そこでなんとか」って・・・』
瀧『・・・・・』
おそばやさんが迷走したワケ
文にすると迷走っぷりがよくわかるのですが
一言で言うと
ビジネスモデルをコンセプトより優先してしまったから
になります。
一般的なおそば屋さんのビジネスモデル
昔からのおそばやさんは昼はともかく夜は
一杯、肴、そして締めに蕎麦
という流れのお店が多いです。
これはどういうことかというと
利益率の高い、酒、肴で稼ぎたい、ということです。
特に日本は『そば屋で一杯』という文化がありますし。
おそば屋さんの収入的には夜、酒を飲んでくれるお客様がありがたいわけです。
おそば屋さんの間違えたこと①勝負所を間違えてた
このおそば屋さんの存在価値は
手打ちの絶品の御蕎麦が食べれることでした。
なのに、高いと言われ値下げしたことが最大の失敗です。
もちろんそれを高いと思う人もいるでしょう。
しかしそれは、蕎麦の価値よりも値段の安さに判断基準を置いている意見の可能性が大きいと思います。
このおそば屋さんは値段よりも旨い蕎麦が食べたい!という価値観の人向けのお店ということがコンセプトかと思われます。
お店のコンセプトに沿うなら高い、と言われたなら値段に合うよう品質を上げる方が理にかなっています。
せっかく素晴らしい手打ち蕎麦を作れるという資産があるのに
コンセプトを放棄しわざわざ安さで勝負しにいってしまったのが失敗です。
おそば屋さんの間違えたこと②コンセプトよりビジネスモデルを優先してしまった
そして次の失敗が安くするために実施したことですね。
確かに夜のおつまみでお酒が売れれば稼げるのでしょうが
肝心かなめの御蕎麦の質が落ちては本末転倒です。
それなら、いっそ居酒屋さんすれば、という感じです。
ビジネスモデル(酒とおつまみ)をコンセプト(おそば)より優先してしまった結果の迷走してしまったのです。
おそば屋さんの間違えたこと③お客様の優先順位がずれていた
そして、そもそも高い、と言われて安くしましたが
優先するべきは普段食べに来てくれてるお客さんです。
優先するって、えこひいきじゃないか、と思った方
その通りです、えこひいきです。
もちろん、意見を言ってくださるお客様は大切ですし、よく参考にし考えなければなりませんが
考えた結果、お店のコンセプトとずれるならば意見不採用でも構わないのです。
それより、普段来てくれている、贔屓にしてくれるお客様により喜んでもらうようにするべきです。
その方がお店の売上にはプラスになります。
Mの後日談
M『で、そこじゃない普段いっているおそば屋さんは客席稼働率4割くらいなんだけどさ、
めちゃめちゃ美味しいのね。そのぶん値段もはる。なんだかんだで2000円弱使うからなぁ。
でも、そこにきているお客さんみんなそんな感じだよ』
瀧『なら、客単1000円のお店の稼働率8割だね』
M『そうだねぇ。夜もそんなお客さんでにぎわってるみたいだよ』
瀧『腕があるなら、確実に経営が成り立つよね、うん』
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